研究課題/領域番号 |
24550155
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北川 敏一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20183791)
|
研究分担者 |
平井 克幸 三重大学, 社会連携研究センター, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90301241)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 自己組織化単分子膜 / 薗頭カップリング / 分子ワイヤー / フェロセン / サイクリックボルタンメトリー |
研究概要 |
本研究では、アダマンタン骨格をコアにもつ分子三脚がAu基板表面に強固に3点吸着して自己組織化単分子膜を形成することを利用して、これを起点とする単分子膜上での逐次カップリング反応により分子を段階的に伸長する。平成24年度はこの目的で研究を進め、以下の成果を得た。 1.分子伸長の起点形成 分子伸長の起点として、アダマンタン骨格の3個の橋頭位にCH2SH基を持つ三脚形分子の上部にp-ヨードフェニル基を持つトリチオール(分子三脚)を合成し、その単分子膜をAu基板上に作製した。続いてこの単分子膜を形成した基板上での薗頭カップリング反応によりTMS保護基を持つアセチレンを連結し、さらに脱保護を行うことによりp-エチニルフェニル基を垂直上方に向けた単分子膜を形成した。 2.単分子膜の表面密度解析 上記の分子変換の各段階において、電気化学的手段により表面分子密度を測定した。具体的には、単分子膜を形成したAu基板を作用電極とするサイクリックボルタンメトリーを行い、負電位で吸着分子が還元的脱離を受ける際の電気量から三脚分子の密度を決定した。その結果、いずれの段階でも三脚分子は高密度で凝集した単分子膜を形成しており、表面分子変換により脱着を起こしていないことが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した分子伸長の起点形成については、単分子膜上の各三脚分子にp-エチニルフェニル基を結合できたため、目的を達成した。さらに、得られた単分子膜の吸着分子密度の評価まで完了した。一方、この単分子膜へのフェロセン結合の計画については予備実験が完了し条件の詳細検討ができる段階に達したが、最適反応条件の探索はなお進行中である。
|
今後の研究の推進方策 |
基板表面上での反応は、通常の溶液中での合成とは異なった反応条件を必要とする場合が多い。特に、クロスカップリング反応のように重金属触媒を用いる場合は、触媒活性種が可溶であるかどうかが鍵となる。これは、反応基質分子が基板に固定されているため、基質と触媒活性種が接触するには後者が溶解していることが必要なためである。現在、一般によく用いられているテトラヒドロフランやトリエチルアミンを溶媒に用いているが、触媒活性種の溶解度が低い可能性がある。今後最適な溶媒を探索して表面反応収率の改善を図る。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|