研究課題/領域番号 |
24550155
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
北川 敏一 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20183791)
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研究分担者 |
平井 克幸 三重大学, 社会連携研究センター, 准教授 (80208793)
岡崎 隆男 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90301241)
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キーワード | アダマンタン / 分子三脚 / 自己組織化単分子膜 / 薗頭カップリング / フェロセン / サイクリックボルタンメトリー |
研究概要 |
本研究では、アダマンタン骨格をコアにもつ分子三脚がAu基板表面に吸着して形成される自己組織化単分子膜(SAM)を起点とした、基板上での連続クロスカップリング反応による分子伸長を検討している。平成25年度の結果は以下の通りである。 1.単分子膜上での薗頭カップリング 昨年度作製した、上部にp-ヨードフェニル基を持つアダマンタン分子三脚のSAMに対し、基板上でエチニルフェロセンの薗頭カップリングを行った。反応後の基板を作用電極とするサイクリックボルタンメトリーにより表面に結合したフェロセンを定量した結果、収率が77%であることが示された。同様の反応を溶液中の従来法で行った場合の収率が80%であることから、SAM上の薗頭カップリングが溶液中と同等の収率で進行することが確認できた。 2.単分子膜上での逐次薗頭カップリングによる分子伸長 昨年度作製した、上部にエチニル基を持つアダマンタン分子三脚のSAMに対し、1-ヨード-4-(フェロセニルエチニル)ベンゼンの薗頭カップリングを行った。これにより、Au基板上のp-ヨードフェニル置換分子三脚のSAMに対して、1)トリメチルシリルアセチレンの結合、2)トリメチルシリル基の除去、3)1-ヨード-4-(フェロセニルエチニル)ベンゼンの結合、を連続して行ったことになる。上記と同様に、基板に結合したフェロセンを電気化学的に定量したところ、3段階反応の総合収率は約30%であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した通りアダマンタン分子三脚上での薗頭カップリング反応で分子を連結し、その収率を電気化学的に求めることが出来た。フェロセンを結合してそれを元に反応収率を求める方法は、今後様々なタイプの基板上分子伸長反応の効率を評価するのに有効と思われる。SAM上での1段階カップリングでは溶液反応と同様の収率が得られたのに対し、薗頭カップリングを2回実施後には収率が大きく低下したため、これを改善することが今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
反応収率が低下したのは、触媒活性種の溶解度が低いことによる可能性がある。SAM上での合成では反応基質分子が基板に固定されているため、触媒が溶解して基板表面に到達することが重要となる。この条件を満たす溶媒として各種イオン液体が有効と期待されるため、今後これを検討し表面反応収率の改善を図る
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