本研究では、光の高効率利用のための反応場として、有機溶媒に可溶な金属ナノ粒子のネットワーク構造体の形成を目指して研究を進めた。金属表面では光照射により強い光電場が形成され光反応が増強される。金属ナノ粒子からなるネットワーク構造体ではさらに大きな増強効果が期待できる。平成26年度は金ナノ粒子に被覆したジアリールエテンポリマーの光開環反応の照射波長依存性に加えて、銀ナノ粒子に被覆したジアリールエテンポリマーについても検討した。その結果、これまで報告している照射波長依存性がより短波長でも大きな増強効果があることを明らかにし、それらを定量的に見積もることに成功している。さらに、ネットワーク構造形成のための方法論として、ポリマー被覆金属ナノ粒子を作製したのちに光架橋を行う2段階法と両末端にSH基を有するポリマーを用いて1段階でネットワーク化する方法を提案し、1段階法による金ナノ粒子ネットワークの作製に成功している。さらに、金ナノ粒子近傍での増強効果とギャップ間での増強効果を考慮した高次電場増強効果に関する解析を進め、金ナノ粒子単体での増強効果よりも大きな増強効果が得られた。
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