研究概要 |
本研究は、省資源・省エネルギー的手法を用いて、円偏光発光(CPL)特性を有する有機発光体の開発を目的としている。一般的に、光学活性材料のキラリティーに基づく光学特性を反転させるには、逆のキラリティーを有する光学活性物質を用いる。本研究では、同じ絶対配置を有する軸不斉ビナフチル化合物の非古典的CPL特性制御について検討した。 まず、軸不斉ビナフチル化合物 (R)-2,2'-Diethoxy-1,1'-binaphthyl [(R)-1]を用い、状態変化におけるCPLスペクトルの変化について検討を行った。固体KBr分散状態及び固体PMMAfilm分散状態で、CPLスペクトルの測定を行ったところ、興味深い事に、同じ軸不斉ビナフチル化合物を用いているにもかかわらず、CPLスペクトルの符号を反転させることに成功した。 次に、光学活性ビナフチルユニットが1つの軸不斉ビナフチル化合物(R)-(-)-(3,5-Dioxa-4-phosphacyclohepta[2,1-a:3,4-a']dinaphthalen-4-yl)dimethylamine [(R)-2]および光学活性ビナフチルユニットが2つの(11bR,11'bR)-4,4'-9,9-Dimethyl-9H-xanthene-4,5-diyl)bis-dinaphtho[2,1-d:1',2'-f][1,3,2]dioxaphosphepin [(R)-3]を用いた。(R)-2及び(R)- 3のchloroform溶液中でのCPLスペクトルを測定したところ、興味深い事に、同じ軸不斉ビナフチルユニットを有しているにもかかわらず、CPLスペクトルの符号が反転した。このように、同じ軸不斉ビナフチルユニットを用いているにもかかわらず、光学活性ビナフチルユニットの個数を変えることにより、CPLスペクトルの符号を制御する事に成功した。
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