研究課題/領域番号 |
24550170
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
王 正明 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (10356610)
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研究分担者 |
久保 史織 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (20435770)
吉澤 徳子 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (10358327)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
これまでは(当研究の開始する前に)高い電気伝導性を持つグラファイト(G)表面に規則性構造メソ細孔シリカ(PMS)が垂直に配向成長した高電導・不導体ナノ接合体の創製に成功したが、その生成機構が未解明のために、今年度において主に形成メカニズムに関する研究を遂行した。グラファイト酸化物(GO)に異なる温度で水熱処理を施し、異なる表面状態を制御した前駆体を得た。GOの表面状態の変化をUV-Vis、FT-IR、XPSなどの分析手段を駆使して解明すると同時に、PMSとの複合体の構造との関係を調べた。その結果、高温で処理するほど、次第に垂直配列ポア構造が失われ、代わりにGOの表面にメソポーラスシリカナノ粒子が大量に沈着した。このように垂直配列ポア構造が炭素層の表面状態と密接関係することが分かった。溶液in-situ小角X線散乱法を用いて、GO分散系と界面活性剤の混合系の構造を調べた結果、シリカ源(TEOS)を加える前に、すでに界面活性剤の集合体構造ができていることをはっきりと確認した。このことから、垂直配列ポア構造が吸着界面活性剤のミセル構造を鋳型に形成している可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通りに進行しているが、液相AFM観察など、外国研究者との協力研究の内容は時間調整の都合上来年度に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度において主に研究項目「合成手法の確立」を従事する。この研究項目においてメソポアのサイズ制御、PMM膜の厚み制御及びシリカ以外の酸化物複合体の適用をテーマとした。メソポアのサイズ制御は長鎖アルキル四級アンモニウム界面活性剤の鎖長を変化する(アルキル基の炭素数を8から18に変化)ことにより行う。界面活性剤が変化するとGO表面上の吸着ミセル構造や形成条件も変化すると予想されるため、垂直ポア配列が実現できるような最適条件を探り出すように努める。PMM膜の厚みは反応温度、時間、組成比などと関係するため、これらの条件を検討し、複合体の構造解析と共に、PMM膜の厚みが調節可能な条件を探索する。また、このような合成手法を確立すると共にチタニア、マンガン酸化物など、他の酸化物複合体への合成手法の適用も検討する。 平成26年度のおいて主に研究項目「膜形成手法の確立」を従事する。この研究項目において、まずは基板上にグラフェン層の被覆膜を作れるように、スピンコーテイングやデイップコーテイングなどの手法により検討を行う。ここで、異なるタイプの基板を用い、基板の前処理条件、GOの溶液濃度などを検討し、基板上に広範囲にわたり均一に膜形成できる最適条件を決定する。また、GO溶液濃度や反復コーテイングなどの方法によりGOの厚みを制御する。次いで、グラフェンコーテイング基板上に界面活性剤と有機シリカ源の混合溶液を滴下し、直接スピニング、板挟み成長法を適用して、或いは基板を粉末合成溶液中に浸入することにより、グラフェン上に垂直ポア配列PMM膜を成長させる。ここでも組成比や反応温度・時間などを検討し最適な条件を探る。また、得られたグラフェン・垂直ポア配列PMM複合膜の電気伝導性などの物性解析も行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度がマンパワーを増強することを計画しており、次年度使用枠はそのための研究補助員の雇用費用に使用する予定である。
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