研究課題/領域番号 |
24550172
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
PICHIERRI Fabio 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40374920)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有害化学物算 / 計算化学 / イオン認識 / セシウム137 |
研究概要 |
平成24年度では、マクロサイクルであるcucurbiturilとCs-137の相互作用を検討した。cucurbiturilは、カボチャの形をしている大員環である。このマクロサイクルを大量に合成すれば、これを使って、放射性セシウム137と結合させることができる。DFT計算により、Cs+イオンが4つまたは5つのCs-Oの相互作用を形成することにより、大員環を結合することを示している結果が得られた。また、水分子は、Cs+イオンに付いていた。これはcucurbiturilに結合するようアクアイオン Cs(H2O)8は、3つまたは4つの水分子を失わなければならないことを意味する。Cucurbiturilと競合する他のアルカリ金属イオンの(Li+、Na+、K+、Rb+)の結合についても、DFT計算で調べた。その結果、Li+が非常に小さいことを示しているが、Cs +と同様に、他の金属イオンもcucurbiturilと結合することができる。他の金属イオン(Li+、Na+、K+、Rb+)と水との結合は、Cs+を使用した場合よりもはるかに強力であるため、Cs+と水の結合から水を除去するのは、他の金属イオン(Li+、Na+、K+、Rb+)と水から水を除去するよりもはるかに簡単である。したがって、これはcucurbiturilとCs+の結合が、他の金属イオン(Li+、Na+、K+、Rb+)との結合よりも好まれていることを意味する。cucurbiturilを使用するもう一つの利点は、cucurbiturilの大環状の上下2か所に結合部位の可能性があることである。よって、このcucurbiturilがこの放射性元素を含む水溶液からセシウムを除去するために使用することができるであろう。そして、大環状化合物の溶解性は、化学修飾することによって改善することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きな問題がなく、計算が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Cs+と結合することができる、異なるマクロサイクルを検討していきます。たとえば、いくつかのマクロサイクルは、イオンが配位することができる小さな空洞を持っています。このような大環状化合物はCs(H2O)8イオンから水分子を全部除去することが必要になります。出発点として、私はケンブリッジ構造データベースに登録されている結晶構造を使用します。他のイオンの競合結合についても検討します。これらの計算より、大環状化合物とCsを結合させるために最も効果的である提案をします。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、国際会議に出席して、そこで私の計算結果による研究成果を発表し、環境からセシウムを除去するための効率的な方法について、他の研究者と議論します。また、私は分子構造、新しい計算方法、そして環境下でのCs137分布の数学的モデルを構築することに関する追加情報を得ることができる会議に出席します。 次年度使用額は生じているが、3月執行済である。
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