研究課題/領域番号 |
24550175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市原 潤子 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60110772)
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研究分担者 |
山口 俊郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40167698)
坂本 清子 大阪産業大学, 教養部, 教授 (50268249)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハロゲンフリー / エポキシ化 / 過酸化水素 / ポリ酸触媒 / アパタイト / 環境調和型反応 / 粉体系反応 |
研究概要 |
ポリ酸触媒とアパタイト粉体からなるノンハライト®粉体に、原料と過酸化水素水をしみこませ、粉体状態のまま静置して、ハロゲンフリーのエポキシ化合物を効率よく合成する環境調和型の粉体系反応(ノンハライト法)を見出した。このノンハライト法は粉体の表面という特殊な反応場を用いた独創的な技術であり、環境に大きな負荷を与えない環境調和型反応で、省資源・省エネルギー型の技術である。現在、工業化に向けて検討を進めている。 このノンハライト法の反応性は、アパタイト粉体の性質・状態によって異なる。本研究では、アパタイトがどのように作用しているのか、また粉体の表面でどのように反応が起こっているのかを理解する。 当該年度では、市販のアパタイト数種について、①比表面積、粒度分布、動的光散乱粒子径分布の測定を行い、粉体の形状に関するデータを集めた。②さらにICP元素分析、XRD, IR, 固体NMRを測定して、アパタイトの組成や構造について比較検討した。③これらアパタイトを用いた粉体系エポキシ化反応の反応速度の測定は、2種のタングステン酸触媒系で行った。 以上得られたアパタイトの物理化学的測定と反応速度の結果から、粉体系エポキシ化反応の促進に適しているのは、水酸アパタイトよりも炭酸系アパタイトであること、アパタイト粉体の粒径や粒度分布など形状よりも、アパタイト粉体の結晶性による影響がエポキシ化反応の反応性に大きく作用することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度研究実施計画は8割以上達成できた。 ただし、初年度研究実施計画の中で、反応速度の測定データについて、反応条件によってはばらつきがみられたので、引き続き次年度に、反応速度測定のための反応条件を見直して精度の向上を計る。測定精度が高い反応条件で、アパタイトを用いた粉体反応の熱力学的データを求める。
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今後の研究の推進方策 |
初年度には市販アパタイトを用いて得られた物理化学的データと反応速度とから解析して、アパタイトの表面の性質や状態のうち、エポキシ化反応に影響を及ぼすパラメーターを抽出した。 その抽出したパラメーターのうち、1つのパラメーターを変化させたアパタイトの合成を行い、同様の実験方法で、反応性に大きく影響を及ぼすアパタイト表面の要因を追及する。具体的には、一連の合成アパタイトを用いて、比表面積、粒度分布、SEMによる粉体分析、濡れ性実験と反応基質の極性、反応性を比較検討し、液膜形成・流動性にアパタイトが及ぼす効果について考察する。 これらの実験データに基づいて、どのように粉体の表面で効率よく反応が起こっているかを理解する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用計画は、ほぼ、申請書に記載した当初の計画通りである。 人件費・謝金:実験を行う大学院学生・学生がいないので、実験補助の費用を計上する。 外部分析依頼:合成アパタイトについて、物理化学的な状態分析に関しては、XRD, IR、固体NMRは産研の設備を使い、熱分析は産大教養部の施設を利用するが、濡れ性、粒度分布、比表面積については、ホソカワミクロン(株)分析センターに依頼し分析をする。これに係る費用として計上する。 消耗品費:アパタイト類試薬;触媒関連試薬;有機試薬;分析関連の試薬・器具の購入に当てる
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