最終年度では、反応時間を精密に制御可能な流通式水熱反応装置を作製し、133~200℃、10 MPaの条件で酸化銅(I)触媒を用いた4-クロロフェノールの水熱酸化分解の実験を行った。クロロフェノール、過酸化水素、分解生成物の濃度変化をHPLCで分析した結果、以下の知見を得た。 (1)クロロフェノールの分解速度は、触媒あり、反応温度166℃の条件で最大となり、反応時間10秒で98%に達する。この反応温度はヒドロキシラジカルの生成量が最大になる温度(昨年度の研究成果)と一致した。 (2)分解生成物であるシュウ酸の生成量も反応温度166℃で最大であり、シュウ酸濃度は反応開始後約5秒で最大に達したのち急激に減少する。一方、無触媒条件ではシュウ酸は反応開始後約10秒で最大に達した。 (3)過酸化水素の分解速度を詳細に解析した結果、触媒によって生じるフェントン型反応の反応速度定数は温度にほとんど依存しないことが明らかとなった。 (4)以上の結果をもとに、クロロフェノールの分解反応スキームの提案を行った。
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