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2012 年度 実施状況報告書

高含水バイオマス変換プロセスにおけるダブルビームレーザーラマン定量技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24550178
研究種目

基盤研究(C)

研究機関日本大学

研究代表者

沼田 靖  日本大学, 工学部, 准教授 (10218266)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードラマン分光法 / 定量分析
研究概要

環境工学やリサイクルの分野での試料は高含水で多成分系試料である。このような試料を分離なしでin-situ(その場)で迅速に定量できる分析装置の開発が急務となっている。この研究では対照試料と測定試料のラマンスペクトルを同時に測定できる装置(ダブルビームレーザーラマン装置と名付ける)を作製し、ファイトケミカルやバイオガスの定量分析をin-situ で測定することを目標としている。
本年度では レーザーパワーの変動に左右されないダブルビームレーザーラマン分光装置を作成することを計画していた。まず、Nd-YAGレーザーおよび分光器を購入し、レーザーラマンスペクトルを測定できるようにした。サンプルとしては、ファイトケミカルであるケルセチンとその配糖体であるルチンの測定を行った。そのスペクトルは以前測定したものと同じであり、本実験で作ったラマン測定装置の分解能に問題ない事を確認した。
次にこの光源であるレーザーの時間的安定性を確認するため、長時間測定を行い、レーザーが3時間程度で安定する事と10時間までは安定して利用できる事を確認した。
作製したレーザーラマン分光装置を用いて、従来と同様に外部標準法を用い定量分析を行ったところ、ラマン強度比は濃度に比例することを確認した。
さらにこのレーザーラマン分光装置のレーザー光を分割し、ダブルビーム装置を作製する予定であった。標準試料においてもラマンスペクトルも測定する予定であったが、標準試料のラマンスペクトルを測定するためには分波する割合を大きくする必要があったので、分波したレーザーパワーのモニターをピンフォトダイオードを使うこととした。現在はその分波するプリズムの設定をどうするかを検討するところまで実験は進んでいる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は(1)レーザーパワーの変動に左右されないダブルビームレーザーラマン分光装置を作成する。(2)この装置を用い、ラマン強度比は濃度に比例することを示す。(3)既存のラマンスペクトルでは基準となる試料のラマン強度をあらかじめ測定する必要があるがこの装置を用いればさらに正しい定量分析が可能であることを示す計画であった。
まず、Nd-YAGレーザーおよび分光器を購入し、レーザーラマンスペクトルを測定できるようにした。サンプルとしては、ファイトケミカルであるケルセチンとその配糖体であるルチンの測定を行った。そのスペクトルは以前測定したものと同じであり、本実験で作ったラマン測定装置の分解能に問題ない事を確認した。
この装置の性能を確認し、次にダブルビームレーザーラマンスペクトル測定装置の立ち上げにとりかかった。実験計画では標準試料においてもラマンスペクトルも測定する予定であったが、標準試料のラマンスペクトルを測定するためには分波する割合を大きくする必要があったので、分波したレーザーパワーのモニターをピンフォトダイオードを使うこととした。現在はその分波するプリズムの設定をどうするかを検討しているところまで実験は進んでいる。
購入した装置でラマンスペクトルの測定が可能となり、次は分波してレーザーパワーモニターするところまで実験が進んでいるので、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

1. 本年度は昨年度に引き続きダブルビームレーザーラマン分光装置を立ち上げる。
昨年度は分波プリズムの分配割合ととピンホトダイオードの性能が決まらなかったためまだダブルビームレーザーラマン測定装置は組み上げていない。そこでまず、レーザー光を分波するためのプリズムの分配率を決定し、そのプリズムをレーザーと試料の間に設置する。また分波したレーザーのパワーが適切に測定できるピンホトダイオードを購入し、分波したレーザー光をこのピンホトダイオードで検出する。これを入射レーザーパワーとする。
2. この装置を用い種々のレーザーパワーで試料のラマンスペクトルを測定し、レーザーパワーに対する試料のラマン強度比を計算する事により、レーザーパワーが変動してもラマン強度比が一定になる事を確認する。
3. これが確認できれば、この装置をファイトケミカルの定量分析に適応する。
4. バイオガスをラマン分光法で定量できるファーメンター装置の製作を行う。

次年度の研究費の使用計画

1. レーザー光をダブルビームにするために分波するためのプリズムおよび光学フォルダーをを購入する。また分波したレーザーのパワーが適切に測定できるピンホトダイオードを購入する。
2. 種々のレーザーパワーで実験を行うため、NDフィルターおよび光学フィルタを購入する。
3. ファイトケミカルであるルチン、ケルセチンのラマン分光による定量分析を行うためルチン、ケルセチン等の試料および各種溶媒を購入する。
4. ファーメンター装置を立ち上げるためのガスメータ、pHメーター、温度計および酸や塩基を加えるためのポンプを購入する。
5. 各実験を行うためのガラス器具および光学実験のための光学部品も必要となる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Rapid and accurate quantitative analysis of fermentation gases by Raman spectroscopy2013

    • 著者名/発表者名
      Yasushi Numata, Yuta Shinohara, Tomoya Kitayama, Hiroyuki Tanaka
    • 雑誌名

      Process Biochemistry

      巻: 48 ページ: 569-574

    • DOI

      10.1016/j.procbio.2013.02.018

    • 査読あり
  • [学会発表] ラマン分光法による廃棄物中に含まれるアミノ酸の定量分析法の開発2012

    • 著者名/発表者名
      大塚麻莉亜、沼田 靖、田中裕之
    • 学会等名
      廃棄物循環学会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      20121022-20121023
  • [学会発表] 低波数領域における含水アルコールのラマン分光 定量分析2012

    • 著者名/発表者名
      篠原悠太,北山智也,沼田 靖,田中裕之
    • 学会等名
      環境化学討論会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      20120711-20120712
  • [学会発表] ラマン分光法を用いた混合ガスの定量分析法の開 発2012

    • 著者名/発表者名
      北山智也,篠原悠太,沼田 靖,田中裕之
    • 学会等名
      環境化学討論会
    • 発表場所
      愛媛大学
    • 年月日
      20120711-20120712

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公開日: 2014-07-24  

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