研究課題/領域番号 |
24550183
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
蒲池 利章 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (30272694)
|
キーワード | シトクロムc3 / 光水素発生 / ヒドロゲナーゼ |
研究概要 |
本研究ではマルチヘムタンパク質である硫酸還元菌Desulfovibrio vulgaris(Miyazaki)由来のシトクロムc3 の部位特異的変位導入により特定のヘム近傍の環境を変化させ、元来有している電子伝達機能に加え新機能を付与することを目的としてる。特に、本申請研究ではシトクロムc3 に光増感機能を付与し、光励起電子移動反応をタンパク質一分子内で実現し、さらに、光機能化したシトクロムc3 とヒドロゲナーゼを組み合わせることで、高効率光水素発生径の構築を目指している。 これまでに引き続き、光機能化シトクロムc3の調製をShewanella oneidensisを用いた異種発現系を用いて行っている。特にHemeI以外の4個のヘムそれぞれに変異を導入し、特定のヘムの欠損したシトクロムc3を調製した。また、調製したヘム欠損シトクロムc3それぞれのヘムポケットに、Zn Protoporphyrin IXを導入することで光機能化を検討した。しかし、光機能化の効率が低かったため、ヘムポケットにさらに遺伝子工学的な変異を加え、光機能化効率の向上を目指した。また、シトクロムc3とヒドロゲナーゼを組み合わせた光水素発生径の構築のため、新たにベシクルを反応場として用いた測定システムを検討し、高効率な光水素発生系の構築を達成した。今後、光水素発生系の分光学的測定を行い、光誘起電子移動反応の詳細を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請研究ではヒドロゲナーゼの生体内での電子伝達タンパク質であるシトクロムc3に着目し、高効率光水素発生系の構築を目指す。この目的のために光機能化シトクロムc3の光機能化シトクロムc3のためのヘム欠損シトクロムc3を4種類作成し、その光機能化を検討した。また、高収率で光機能化シトクロムc3を得るため、ヘムポケット周辺の遺伝子工学的な改変を行い、変異タンパク質を取得している。また、新たに、ベシクルを用いた光水素発生系を構築し、その評価を行っていることから、研究は順調に進行していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
すでに光機能化のための変異シトクロムc3を12種類調製しており、これらに対する光機能化を行う。光機能化にはZnあるいはメタルフリーProtoporphyrin IXを用いる。また、本年度新たに構築したベシクルを反応場として用いた光水素発生系の分光学的な測定により速度論的解析を行う。これら研究により得られた情報を元にさらなる光水素発生効率の向上を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該研究の成果が、順調に進行しており、かつ、当初目的より先んじた研究が遂行できる可能性が出てきており、次年度の物品費を上積みすることにより効率よく研究を進行することができる可能性があったため。 次年度使用額は物品費として使用予定。早期の執行を計画している。
|