本研究の最終目的は、細菌(マイコプラズマやシアノバクテリア)の数百万塩基対以上のゲノムDNAをハイスループットで効率よく「完全化学合成」する手法の確立である。我が国は核酸合成技術の開発で常に米国に遅れをとってきたが、有機化学的視点にたったDNA合成の本質的な見直しをおこなうことで世界最高峰のゲノムDNA合成技術を創成する。そのために、我々がこれまで世界に先駆けて開発してきた「核酸塩基部位に保護基を使用しない革新的なDNA合成法(塩基部無保護法)」を駆使し、従来のゲノムDNA合成が抱えていた問題点の克服を目指す。本研究課題では、「鎖伸長効率の向上」と「精製作業の簡略化」を目指して、合成担体の改良および新規キャップ化反応(鎖伸長しなかった水酸基をふさぐ反応)の開発をおこない、今まで合成が困難とされてきた500量体程度のDNAオリゴマーをパラレルに化学合成できるシステムを構築する。 H26年度は前年度までにおこなった「a. 鎖伸長効率の向上」、「b. 作業簡略化」、および「c.長鎖DNA合成フローシステムの構築」の再現性を30量体程度のDNAオリゴマーの合成行うことで確認した。さらに、DNA合成フローシステムのためのフィルター型ポーラスガラス担体を合成し、この担体上での反応性を詳細に調べた。
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