昨今、microRNAの発現異常が、重篤な疾患を引き起こす原因となることが明らかとなっている、microRNAは、RISCと呼ばれるリボヌクレオプロテインを形成した後、標的遺伝子を補足しその発現を制御する。本研究課題では、microRNA の標的鎖補足機構を狙い撃つ新規核酸素子の開発を目的とした。 本年度は、前年度までに開発した機能性核酸(RINDA)のRISC機能阻害効果を生細胞系で評価することに主眼を置いて研究を遂行した。前年度、Gluの連続配列を持つ RINDA(E3)のRISC機能阻害効果が、ペプチドを持たないオリゴ核酸(ASO)と比較し、有意に向上することが明らかとなった。そこで、より高い効果を示すRISC 機能阻害分子の開発を目指し、Glu の連続配列が異なる6 種類のRINDAを合成した。合成したRINDA の RISC機能阻害効果を評価したところ、RINDA(E1)ならびにRINDA(E3)の効果が最も高いことが確認された。生細胞で観察された結果の作用機序を理解するため、細胞溶解液を用いた実験系の立ち上げにも着手した。今後、立ち上げた新たな実験系を用い、RINDAの作用機序を明らかにしていきたい。
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