研究課題/領域番号 |
24550188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
CHOI Jungkweon 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助教 (00574328)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Non-B DNA / G-quadruple / 電荷分離 |
研究概要 |
DNAの酸化と還元は様々な生命現象における本質的な過程であり、その重要性は明確であり、さらに生命化学やナノ生命工学への応用の可能性からも、近年、DNA中の電子・正孔移動が注目されている。今回我々はレーザーフラッシュフォトリシスとパルスラジオリシスを用いてnon-B DNAの一つであるG-四重鎖中における正孔移動と捕獲についての研究を行った。G-四重鎖はグアニン(G)を多く含む様々な配列によって形成されるDNA二次構造であり、生体外においてテロメアーゼの結合を阻害することや、転写抑制因子として働くことから注目を集めている。近年、DNA中における正孔移動の全体的な効率を決定する上で、正孔捕獲は重要な過程であると考えられるようになった。これまでDNAの酸化における、G-カルテットの役割についての知見は得られていなかった。本研究では、リボフラビンが修飾されたG-四重鎖(Rf-G―q)では、リボフラビンとG塩基間の電荷分離が、平面構造を有するG-カルテットの優れた正孔捕獲能によって効率的に進行することが明らかになった。1 さらに、リボフラビンからG塩基への効率的な電荷移動の後、電荷分離状態が生成し、その後、電荷再結合によるリボフラビンの三重項励起状態(3Rf*)の生成が~0.7ns程度の時間領域で起こることが観察された。すなわち、G-四重鎖のG-カルテットがG一つや2・3つ連続したGより低い酸化電位を有するがわかった。このことはG-四重鎖が遺伝子の酸化損傷に対する捕捉剤として働きうることを意味する。本研究で得られた知見から、DNAの損傷と修復において、G-四重鎖の果たす役割が注目され、今後の解明が待たれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りに進んでおり、これまでに得られた結果をもとに論文を作成しているからである。
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今後の研究の推進方策 |
得られた結果をもとに生きている細胞内でG-quadruplex DNAの構造変化のダイナミクスを明らかにする。高い空間分解能(数nm-数十nm)と時間分解能(<50 ps)を持つ共焦点蛍光顕微鏡システムを使用して細胞内での構造変化を解明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 遺伝子導入装置購入 2. データ解析のためのコンピュータおよびプログラムの購入
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