研究課題/領域番号 |
24550205
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
武田 圭生 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70352060)
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キーワード | 一次元金属錯体 / 圧力インジケータ / 圧力センサ / 高圧力 / 粉末X線回折 / 薄膜 / 真空蒸着 / 吸収スペクトル |
研究概要 |
金属イオンが一次元的に配列する金属-ジオンジオキシマート錯体は加圧すると色彩変化や電気抵抗の急減など極めて興味深い性質を示す。加圧による色彩変化は、色から圧力を決める圧力スケールとして使用できる。また、電気抵抗の急激な変化は圧力センサとし て利用できる。混晶薄膜を用いると利用圧力領域を自由に設定できるので高圧下においてNi,Pd及びPt錯体を組み合わせた混晶薄膜の 電子物性を詳細に研究し、新しい高圧力センサ材料の開発を目的としている。昨年度に引き続き金属-ジオンジオキシマート錯体混晶薄膜の作成方法について詳細に研究した。今年度は配位子をジフェニルグリオキシムとした場合についての蒸着方法について検討した。具体的には単一蒸着源から異なる2種の錯体を蒸着する方法と蒸着源を二元化した場合について比較した。混合比1:1で作製した薄膜の吸収スペクトル は両者でほぼ一致していた。これはジメチルグリオキシムの場合と同様であった。また、次年度の予定であった電気抵抗の研究に着手した。白金-ベンゾキノンジオキシマート錯体について低温高圧下電気抵抗測定を行った。種々の圧力下での温度依存性を計測し、活性化エネルギーの圧力依存性を明らかにすることができた。さらに混晶錯体の加圧による色彩変化についての研究を推進した。金属ジメチルグリオキシマート錯体及び金属ジフェニルグリオキシマート錯体の二種について行うことができた。両者ともに混晶化することにより色彩変化の色数が増えて、圧力範囲を広げることに成功した。しかし混晶薄膜と比較するためには積層膜にした場合についての圧力効果について詳細に検討する必要がある。また、単一錯体では最も色変化数の多い類似錯体の金属シクロヘキサンジオンジオキシマート錯体の混晶薄膜についても同様に検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の予定では加圧による色彩変化や吸収スペクトルについての研究を行うこととしていたが、予定通りこれらの研究に着手し結果を得ることができた。これらの研究成果については高圧討論会で発表している。また、次年度の研究課題としていた電気伝導に関する研究については前倒しして開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を基に加圧による色彩変化や吸収スペクトルの研究を行う。混晶薄膜の色彩の圧力変化と比較するためには積層膜にした場合についての圧力変化について詳細に検討する必要がある。また、単一錯体では最も色変化数の多い類似錯体の金属シクロヘキサンジオンジオキシマート錯体の混晶薄膜についての圧力効果を調査する。今年度前倒しして着手した電気抵抗の研究については、白金に加えてさらにパラジウム錯体について進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進展により薬品(シクロヘキサンジオキシム)の購入が必要となったが、金額が少々不足していることと年度末であったため次年度と合算して使用する方が良いと判断したため 類似錯体の金属シクロヘキサンジオンジオキシマート錯体の混晶薄膜についての研究を行うため、必要な薬品を購入する予定である。
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