研究課題/領域番号 |
24550208
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮本 淳一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30450662)
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研究分担者 |
直井 勝彦 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70192664)
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キーワード | キャパシタ / ナノ材料 / 次世代蓄電デバイス |
研究概要 |
平成25年度は昨年度に引き続きナノハイブリッドキャパシタ負極材料候補であるブロンズ型二酸化チタンTiO2(B)とカーボンナノファイバー(CNF)の複合体作製に取り組んだ。昨年度水溶性チタン錯体を経て超遠心力場下液相反応技術(UC処理)と水熱合成の組み合わせにより、TiO2(B)をCNF上に担持する手法を確立したが、平成25年度はシングルナノメートルサイズ(粒子径 約5nm)のTiO2(B)を効率的にCNF上に分散担持する方法を探索した。 その結果、水溶性チタン錯体の合成からCNFへの担持に対するスキームを変更することで平成24年度よりさらにCNF上へのナノ結晶性TiO2(B)の高分散化を達成した。得られたTiO2(B)/CNF複合体の電気化学特性も昨年度より向上し、1Cで243 mAh/g、300Cでも151 mAh/gを示した。この300Cでの発現容量はこれまでに当研究室で報告したスピネル型チタン酸リチウムLi4Ti5O12/CNF複合体が示した約2倍の値を達成した。 さらにTiO2(B)の分散度を定量化することを試み、77Kにおける窒素吸着等温線から得られるメソ細孔(2~50 nm)分布曲線を利用することで分散性を定量化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の最終目的であるナノハイブリッドキャパシタ負極用材料としてTiO2(B)が有望であり、さらには現時点では報告例のないリチウムイオン電池負極材料として現状利用されているグラファイトの代替も可能であることがわかった。もう1つの負極候補としてチタン酸水素(H2Ti12O25)も検討・研究を推進してきたが理論容量及び合成の困難からTiO2(B)に注力した。 一方、正極材料については平成24年度はオリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4:LFP)に注力したが平成25年度はLFPより高電位を示すマンガンを含むオリビン型リン酸マンガン鉄リチウム(LiFxM(1-x)PO4;LFMP)とCNF複合体の作製に着手した。LFMP/CNFの作製自体は成功しているが現状では80Cで活性炭レベルの発現容量であり、合成スキームの再検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
負極材料としてはTiO2(B)/CNFに注力し、残存する課題として長期サイクル特性の向上と初期充放電における不可逆容量の抑制を図る。その方策としてTiO2(B)中に異種金属のドープを試み、構造安定化を計算化学的手法をe取り入れながら検討する。同時にTiO2(B)/CNF複合体の高速充放電メカニズムの解明を探索する。 正極材料についてはLFMP/CNF複合体の合成スキーム段階から見直し、出力特性向上を図る。さらに平成26年度は結晶構造的にLiイオン拡散性が優れると考えられるオリビン型リン酸バナジウムリチウム(Li3V2(PO4)3)とCNFの複合体作製に着手する。すでに実験的に複合体が得られることは確かめているが、その作製再現性が課題であり、今後作製方法の確立と電気化学特性評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品調達金額の端数分である。 最終年度に消耗品代金として組み込む。
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