次世代有機EL素子の発光機構として期待されている熱活性型遅延蛍光(TADF)を示すことが知られている非ドナー-アクセプタ系であるフラーレンC60やポルフィリンスズ錯体について、TADFの発現機構を理論的に解明した。対称性による電気双極子遷移とスピン軌道相互作用の選択則が本質的役割を果たしていることがわかった。これらの系ではT1よりも高エネルギーの三重項励起状態からの逆系間交差によるTADFであることが明らかとなり、この機構を対称規制TADFと名付けた。一重項状態よりも三重項状態の高い逆転一重項三重項構造も可能であり、この熱励起が不要な電子構造をもつ分子設計指針を提案し、設計を行った。
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