研究概要 |
本研究では、ペルフルオロアルキル基の強力な電子求引性を活用した高性能の酸化剤を合成し、さらに、この特長を活かした機能性電子材料、すなわちフッ素系二次電池正極材料を開発を目指している。平成25年度は(1)フルオロベンゾキノン類を用いた二次電池材料、および(2)その類縁体を用いた二次電池材料の開発を行った。以下に概要を述べる。 (1)前年度の研究によりペルフルオロアルキル基を導入したベンゾキノン類は強力な酸化剤として有用であることが明らかとなった。また、それらを正極活物質として用いた二次電池の作製にも成功した。しかしながら、作製した二次電池はペルフルオロアルキル基が大きな分子量を有していることから容量密度が小さくなってしまうことが分かった。そこで、当初予定していたトリフルオロメチル基に代えてフッ素を複数直接ベンゾキノン骨格に導入したフルオロベンゾキノン類の開発を行うことにした。具体的には、フルオロアルキルベンゾキノンとして、2,5-ジフルオロベンゾキノン、2,3,5,6-テトラフルオロベンゾキノンを合成し、それらを用いて二次電池を作製した。作製した二次電池の容量密度やエネルギー密度、充放電特性、サイクル特性などを評価した。その結果、容量密度は大きくまた出力電圧も高かったがサイクル特性が悪くなった。 (2)フルオロベンゾキノンの類縁体として、クロロベンゾキノン、ブロモベンゾキノンを正極活物質として用いた二次電池を作製しその性能を評価した。具体的には、2,5-ジクロロベンゾキノン、2,3,5,6-テトラクロロベンゾキノン、2,5-ジブロモベンゾキノン、2,3,5,6-テトラブロモベンゾキノンの4種類である。その結果、臭素を導入したベンゾキノン類のサイクル特性が最も良いことが分かった。
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