研究課題/領域番号 |
24550216
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
山田 直臣 中部大学, 工学部, 准教授 (50398575)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノロッド / TiO2 / 色素増感型太陽電池 |
研究概要 |
本研究の目的は、NbドープTiO2(TNO) 透明導電膜上へ、配向した単結晶TiO2 ナノロッド群を直接成長させて, 色素増感型太陽電池用の全酸化チタン光電極を実現させることである。 今年度は、(ア)TiO2 ナノロッド群の成長方法の確立、(イ)ナノロッドの配向性制御、(ウ)TNO 透明電極の表面形状制御、の3つの項目に取組んだ。 上記の(ア)では、TiO2ナノロッド群の成長に水熱合成法を用い、成長条件-特に、成長温度と原料溶液(チタニウムブトキシドと塩酸の混合水溶液)の濃度-について検討した。その結果、チタニウムブトキシドの濃度を0.1vol%とし、成長温度を120℃以上の条件で水熱合成を行うと、TNO透明導電膜全面にTiO2ナノロッドが成長することがわかった。さらに、成長温度を120~180℃の範囲で変化させると、ナノロッド群の密度も制御できることを明らかにした。 項目(イ)では,ナノロッド群をa軸配向させることを目的としていた。当初は、下地であるTNO透明導電膜の配向性を制御することで、ナノロッドの配向性も変化させようとしていた。しかし、望外にも、TNOの配向性を制御することなく、成長温度を制御するのみでナノロッドをa軸配向させられることがわかった。具体的には、成長温度を150℃以上にするだけで容易に目標が達成できた。 上記(ウ)の最終目標は、TNO透明導電膜の表面形状を制御して、TiO2ナノロッド群の密度を変化させられるか否かを知ることである。TNO透明導電膜の作製プロセスを変える(直接結晶化させるか、固相結晶化させるか)ことで、TNOの表面形状を大きく変化させることができた。それらの上にTiO2ナノロッドを成長させたところ、TiO2ナノロッド群の密度とTNOの表面形状に強い相関はないことがわかった。成長温度を変化させることが、密度制御に最も効果があるという結論が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の最も大きな目標は、配向したTiO2ナノロッド群の成長方法を確立することであった。 望外にも、目標であったa軸配向したナノロッド群を容易に成長させることができたこと、また、計画立案当初に考えていた複雑な手法を用いなくとも、ナノロッド群の密度が制御できることを見出したことは、当初の計画以上に順調に進んだといってよい。 しかしながら、ナノロッド群の電子物性に関しては、評価方法の検討に時間を要しており、進展がやや遅れている。 以上から、達成度の区分を「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
TiO2ナノロッド/TNO電極の作製プロセスについては、今年度でほぼ確立できたといってよい。TiO2ナノロッドのみでは、電子物性の評価が難しいことがわかってきた。 そこで今後は、色素増感太陽電池(DSC)を作製し、その電池特性からTiO2ナノロッド群の電子物性を明らかにするというアプローチをとる。DSCのインピーダンスを測定(ナイキストプロット等)を行えば、TiO2ナノロッド/TNO界面の電子輸送について知見が得られるはずである。 電子物性を明らかにするとともに、ナノロッドの化学状態とDSCの変換効率の相関を明らかにしていく。特に、変換効率を決定している支配因子を明らかにする。支配因子が明らかになれば、それをナノロッド成長のステップ等にフィードバックし、高効率化につなげていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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