研究の全体構想は次世代3次元LSIにおける縦型・微細な導電配線を実現することである。申請者は光アシスト効果を用いて溶液中から新奇な金属/導電性ポリマー複合体を創出し、先行技術の10倍以上の早さで導電配線を形成できることを見出した。課題はさらなる低抵抗化のための材料原理の確立である。研究の目的は、金属の存在状態(含有率、サイズ、形状)と導電率との関係を解明することである。学術的特色は、金属ナノ粒子を利用することで、金属/ポリマー複合体の導電性に関する新たな複合則を提案することである。期待される結果として、現状の数時間かかる導電配線の形成が数分まで短縮され、次世代3次元LSIの生産効率が大きく向上する。
当該年度では、主として、金属の存在状態(含有率、サイズ、形状)の評価を行った。具体的には、以下の通りに行った。 金属/導電性ポリマーについては、前年度までに作製した金属銀/ポリピロール(ドーパント:硝酸およびテトラフルオロ酸、ヘキサフルオロリン酸)を用いた。金属/導電性ポリマーを塗布法によりガラス等の基板上に形成した。SEMによる観察およびEDSによる元素分析を行い、含有率、サイズ、形状を評価した。結果として、銀イオンに対する配位エネルギーが小さいドーパントを用いることで、同じ銀含有率においても、析出する銀粒子のサイズが小さく、球状になることが明らかとなった。これにより、金属/導電性ポリマーの導電率が向上した。
以上より、当該年度の研究計画を達成するとともに、本研究の目的を達成することができた。
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