研究課題/領域番号 |
24550220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
澤田 英夫 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (50259909)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 有機・ハイブリッド材料 / ナノ材料 / 複合材料・物性 / 表面・界面物性 |
研究概要 |
本年度における本研究課題の目的は、種々の構造を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジット類を調製することにより、不燃性および可燃性を示すフルオロアルキル基含有オリゴマー類の構造を明確にさせ、シリカナノコンポジット中において不燃性に関与する化学種を明確にさせることである。さらに、種々の低分子芳香族化合物がカプセル化されたフルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジットを調製し、不燃性を付与しうる低分子芳香族化合物のスクリーニングを行い、次いで低分子芳香族化合物へ不燃性を付与しうる含フッ素ナノコンポジット中における無機ナノ粒子としてシリカナノ粒子以外の無機ナノ粒子のスクリーニングをも行うこともその目的である。 具体的には、フルオロアルキル基含有オリゴマー類とテトラエトキシシラン(TEOS)およびシリカナノ粒子とのアルカリ性条件下における反応により、種々のフルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジット類さらには低分子芳香族化合物がカプセル化された対応する含フッ素ナノコンポジット類の調製およびこれらコンポジット類の耐熱性を含めたキャラクタリゼーションを行った。次いで、シリカナノナノコンポジット以外に、含フッ素オリゴマー/フッ化カルシウムナノコンポジット類の調製を同様な条件下で行い、これらナノコンポジット類の耐熱性に関して対応する含フッ素オリゴマー/シリカナノコンポジット類と比較させ、検討を行った。本研究では、これら一連の含フッ素ナノコンポジット類において、不燃性および可燃性を示すナノコンポジット類にそれぞれ分類させることができ、さらに含フッ素オリゴマー類の構造と不燃性との関係について考察を行うこともできた。本研究では、コンポジットコア内へカプセル化させた低分子芳香族化合物の構造と不燃性との関係についても明確にさせた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度における本研究課題の目的である種々の構造を有するフルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジット類の調製および不燃性および可燃性を示すフルオロアルキル基含有オリゴマー類の構造を明確にさせ、シリカナノコンポジット中において不燃性に関与する化学種を明確にさせることに関しては、種々の構造を有する含フッ素オリゴマー/シリカナノコンポジット類を調製させ、ついて熱重量分析測定を行うことにより、含フッ素オリゴマーの構造と不燃性との関係を明確にさせることができた。特に、これら一連のナノコンポジット類の固体NMR測定により、不燃性に及ぼす重要な化学種として、ヘキサフルオロシリケートアニオンの存在を明確にできた点は大いに評価できる。 さらに、種々の低分子芳香族化合物がカプセル化されたフルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジット類においては、不燃性を付与しうる低分子芳香族化合物における置換基としてフェノール性水酸基が必須であることを明確にさせた点は極めて興味深い。さらに本研究では、シリカナノナノコンポジット以外に含フッ素オリゴマー/フッ化カルシウムナノコンポジット類の調製にも成功し、これらナノコンポジット中における特定の構造を有する含フッ素オリゴマーが不燃性を示す結果が得られた研究成果は極めて重要な知見と言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進に関しては、当初の予定通り、フルオロアルキル基含有オリゴマー/シリカナノコンポジットおよびフルオロアルキル基含有オリゴマー/フッ化カルシウムナノコンポジットの不燃性付与に関する機構を解明させるため、不燃性の発現に寄与すると推定されるアンモニウムヘキサフルオロシリケートもしくはフッ化カルシウムの生成機構に関して固体NMR(1H, 13C, 19F, 29Si NMR)による検討を詳細に行い、不燃性に及ぼすアンモニウムヘキサフルオロシリケートもしくはフッ化カルシウムの作用機構を明確にさせる。
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次年度の研究費の使用計画 |
「該当なし」
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