研究課題/領域番号 |
24550226
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小木曽 真樹 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (10356975)
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キーワード | 自己組織化 / ナノ材料 / 有機ナノチューブ |
研究概要 |
本研究は、グリシルグリシンを結合したペプチド脂質が形成する多様な自己組織化体の中でも特に有機ナノチューブに注目し、形成機構の解明や基礎物性の評価などの”基礎研究”と、高機能化や複合材料化などの”応用研究”を同時に推進する相乗効果により、「自己組織化ナノ材料の学術領域の発展」と、「有機ナノチューブの高機能化による世界で初めての実用化」の両面で高い成果を得ることを目的とするものである。 平成25年度は、”基礎研究”の項目としては、東京理科大学との共同研究を前年までに引き続き行う中で、有機ナノチューブやその他の自己組織化構造体の弾性率を評価し、自己組織化の形態、水素結合様式、配位した金属種などで弾性率が変化することを明らかにした。これらの研究成果を学会発表すると共に、現在複数の論文の投稿準備中である。また、重金属等に対する結合能力を高めた新たな脂質分子を設計し、数種類の新規有機ナノチューブを開発することに成功した。現在、特許出願の準備中であり、学会発表・論文発表はその後に予定している。 ”応用研究”としては主に高機能化有機ナノチューブの大量合成、他の有機・無機材料との複合化の検討を進めた。有機ナノチューブへの磁性ナノ粒子吸着やニッケルメッキなどを行う簡易な製法を開発することで、磁性や導電性をもつ有機ナノチューブを大量合成することに成功した。これらの結果を基に、吸着剤としての応用を目指した性能評価も開始している。また、ゲル化、シリカハイブリッドなどの複合材料化にも成功した。ゲル化に関しては論文を1報発表した。その他に関してはまずは特許出願の準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は他部署への併任により「やや遅れた」が、平成25年度は研究に専念することが出来たため、遅れた分を取り戻し、当初の計画通り順調に進展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には計画通り、新たな表面官能基をもつ有機ナノチューブや導電性・磁性などをもつ高機能有機ナノチューブをそれぞれ数種類開発できており、今年度は原料となる脂質分子の大量製造を行い、サンプル提供や展示会等での紹介に繋げていく予定である。 同時に基礎研究も大学との共同研究を軸に引き続き行い、ペプチド脂質の化学式・分子構造・形成機構などと、ナノチューブの表面特性や基礎物性の相関関係を明らかにし、新たな有機ナノチューブを設計するための指針を提供する。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画的に使用することで年度末に少額が残った。不必要に使い切ることはせず、次年度に繰り越すこととした。 少額のため、次年度に組み入れても影響はない。
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