研究概要 |
本研究は、層状亜鉛 1,3,5-ベンゼントリホスホネート(ZBP)や類似の層状金属多価ホスホネートを用い、層構造を保持したまま種々のナノスペース材料に変換する方法について検討することを目的としており、H25年度に得られた主な研究成果は以下の通りである。 1.1,3,5-ベンゼントリホスホン酸(BTP)を用いて、ZBPとは異なる組成、構造の亜鉛1,3,5-ベンゼントリホスホネートを合成し、結晶構造を決定した。ZBPと同様にカチオン性界面活性剤のインターカレーションおよび層剥離が可能で、AFMよりSi基板上に固定化された単層ナノシート(NS)を確認した。 2.放射光を利用したZBP NSのin plain XRDにより回折パターンが観測され、指数付けには至らなかったもののNSにおける結晶性の保持が確認された。 3. BTP、ランタニド塩、及びカチオン性有機添加物より水熱合成法で得られた有機層間架橋体(LnBP-bpy及びLnBP-dbo)の結晶構造を粉末X線結晶構造解析により解明した。LnBP-bpyは層内構造を保持したままでのカチオン性界面活性剤等のインターカレーションが可能であることを確認した。また、有機アンモニウムカチオン存在下での層剥離によるナノシートをAFMにより確認した。LnBP-dboはこれまでに例のない結晶性オルガノホスホネート有機カチオン架橋ミクロ多孔体であり、層間水の除去により対称性が変化するものの高い結晶性と骨格構造が基本的に保持されていることを確認した。 4.ジアルキルホルムアミドを溶媒とするソルボサーマル法によりピレンテトラホスホン酸を用いて得られた結晶性Mgホスホネートが比較的強い蛍光発光を示したが、水和したMgイオン及び溶媒の分解により生じた有機アンモニウムカチオンの存在により、結晶内でピレン環間距離が増大したためであることが結晶構造解析よりわかった。
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