水の光分解による水素製造を目的として可視光に応答する光触媒の探索が続けられている。本研究では可視光に応答可能な酸窒化物半導体としてGaN:ZnO固溶体およびGaN:InN固溶体の合成について、固体窒素源を用いた新規合成法の開発を進めるとともに、その光電気化学特性、光触媒特性の評価を行うことを目的としている。 固体窒素源である窒化リチウムと酸化ガリウム、酸化亜鉛を混合して窒素雰囲気、常圧下で 550~700 ℃で数時間加熱するという簡単な方法でGaN : ZnO固溶体粉末を合成することに成功した。得られた試料はX線回折、拡散反射スペクトル測定、透過電子顕微鏡などによる評価を行った。原料混合比を変化させることで固溶体の組成も制御できることが分かったが、副生成物として窒化ガリウムが含まれることも分かった。 さらに均一な固溶体を合成することを目的として原料粉末に注目した。電子顕微鏡観察などの結果、市販の酸化ガリウムは比較的大きな粒度分布を持つことが分かったため、マイクロ波水熱合成法を用いてその合成条件検討を行い均一な粒径を持つ酸化ガリウムを合成することに成功した。また、これを原料としてGaN : ZnO固溶体粉末合成を行ったところ、より均一な組成の粉末が合成できることが分かった。また、光電気化学測定により得られた固溶体粉末は可視光に応答して、n型の半導体挙動を示すことがわかった。 さらに固体窒素源を用いた窒化ガリウム-窒化インジウム固溶体の合成についても検討した。金属源として塩化ガリウム。塩化インジウム、窒素源としてリチウムアミドを用いることによって固溶体合成に成功した。
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