研究実績の概要 |
最終年度であるH26年度の主研究目的は、極微サイズの遷移金属酸化物クラスター表面修飾酸化チタン(MOx/TiO2)の光触媒活性支配因子を明らかにすることである。各種分光法、電気化学的手法さらに密度汎関数理論(DFT)計算による詳細な検討を行った結果、MOxクラスターによる表面修飾効果(特に、M = Co, Fe, Ni)の起源を明らかにすることができた。以下にその内容を要約する。 第一に、MOxクラスター担持量の増加に伴って、伝導帯下端は変化しないのに対して価電子帯上端が上昇するために、バンドギャップが低下し可視光吸収が発現する。MOxクラスター担持量が増加するにつれて、可視光吸収は強くなるが、価電子帯上端が上昇し正孔の酸化力が低下する。その結果、光触媒活性に対して最適担持量が存在する。 第二に、この可視光吸収は表面金属酸化物クラスターレベルから酸化チタン伝導帯への界面電子移動に対応することから、電子-正孔の電荷分離が促進される。その結果、高い可視光活性が達成される。 第三に、MOxクラスターは酸素還元の電極触媒として働くために、酸化チタン中の励起電子による酸素還元を促進する。その結果、可視光活性のみならず紫外光活性までも著しく増大する。 平成24年度~平成26年度までの研究成果をまとめてレビュー論文として公表した(J. Phys. Chem. C 2014, 118, 12077-12086 (Feature Article))。本論文は、ACS Editor's Choiceに選ばれると共に、J. Phys. Chem. Cの表紙を飾った。
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