研究課題
平成25年度の調査により、備前焼表面に現れる金属光沢模様は、備前焼粘土と稲わらを酸化雰囲気で焼成した後、還元雰囲気下で冷却し、1000℃付近で窯内を再び酸化雰囲気にすると現れることがわかった。これらの調査結果を基に、備前焼粘土のペレット状試料を稲わらで覆い、大気中にて1240℃まで昇温した後、窒素ガス中にて1000℃まで種々の速度で冷却し、大気中にて室温まで冷却した。1240℃で1時間保持した後、1000℃まで1℃/minで冷却した試料表面は光沢があり淡茶色を示したが、試料表面は溶融していた。これは稲わら中のカリウムと備前焼粘土の反応が促進されたことが要因であると考えられた。1240℃で保持せず、1000℃まで種々の速度で冷却した結果、試料表面の色調は、赤色から黄色へと変化することがわかった。鉄分を多く含む釉薬を酸化雰囲気下で焼成および冷却すると黒色釉となるが、還元雰囲気下で冷却すると、釉薬表面は金属光沢となる。13wt% の酸化鉄(ヘマタイト、α-Fe2O3)を含む釉薬を施し、1260℃まで昇温した後、約1000℃まで還元雰囲気下で冷却したことにより、金属光沢を呈した陶器について、生成相と微構造について検討した。粉末X線回折および電子顕微鏡観察の結果、これまで金属光沢の要因と考えられていた炭素の存在は確認できなかった。金属光沢部の結晶相について詳細に検討した結果、金属光沢を有する備前焼と同様にヘマタイトが生成していることが明らかになった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
ACS Appl. Mater. Interfaces
巻: 6 ページ: 20282-20289
10.1021/am505820b
日本結晶学会誌
巻: 56 ページ: 179-185
Inorg., Chem.
巻: 53 ページ: 10563-10569
10.1021/ic501665c