研究課題/領域番号 |
24550244
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
研究代表者 |
渡瀬 星児 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究主任 (60416336)
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研究分担者 |
松川 公洋 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究部長 (90416321)
渡辺 充 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究員 (70416337)
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キーワード | 有機無機ハイブリッド / シルセスキオキサン / 金属錯体 / 薄膜材料 / ホール輸送性 / カルバゾール基 / 電界発光素子 / りん光薄膜 |
研究概要 |
本研究では、シルセスキオキサンにホールまたは電子輸送性を示す化合物をハイブリッド化したハイブリッド半導体の創製と、これにりん光発光性の金属錯体を共ハイブリッド化したりん光ハイブリッド薄膜を作製し、これを発光層に用いたハイブリッド電界発光素子を構築することを目的としている。平成25年度は、これまでの検討で見出されたホール輸送性のカルバゾール基を導入したシルセスキオキサン薄膜を用いた電界発光素子の構築について検討を行った。透明導電性のITO基板上に当該シルセスキオキサンをスピンコートにより製膜し、その上にホールブロック層と電極となる金属を真空蒸着により順次積層して素子を作製した。この素子に直流電圧を印加したところ、電圧の上昇とともに電界発光を示すことを確認した。電解発光の極大波長はカルバゾールやホールブロック層に用いた化合物のいずれの単独状態でのホトルミネセンスの極大波長よりも長波長化することがわかった。このことから、カルバゾールとホールブロック層に用いた化合物とが分子間相互作用を形成した状態から電界発光しているものと考えられた。またこのことは素子に注入されたホールは少なくとも当該シルセスキオキサン内を通ってホールブロック層との界面にまで到達していることを示しており、カルバゾール基の導入によりシルセスキオキサンにホール輸送性を付与できたことが確認できた。また、このシルセスキオキサンに赤色りん光発光を示すユーロピウム錯体をハイブリッド化した固体りん光薄膜を作製し、これをホール輸送層兼発光層とする電界発光素子を作製したところ、ユーロピウムに由来する色純度の高い赤色の電界発光を示すことがわかった。この結果から、りん光発光性の金属錯体をハイブリッド化したシルセスキオキサン薄膜が電界発光素子の発光層として応用できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画よりも早く、金属錯体をハイブリッド化したシルセスキオキサン薄膜を用いた電界発光に成功しているため。また、発光メカニズムについても理解が進んでおり、次年度はそれらを考慮してさらなる性能向上に向けた検討を進めることができるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究で見出した電気的性質の改善したシルセスキオキサンと金属錯体とのハイブリッド化によるりん光ハイブリッド薄膜を用いた電界発光素子の作製とその発光メカニズムの解明に向けてさらに検討を行う。また、ハイブリッド薄膜の組成最適化、電界発光素子の層構造の最適化、金属錯体の配位子設計などを通じて、電界発光特性の改善を目標に検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
端数として残った。 次年度予算と合わせて使い切る。
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