コロイド単結晶作製のため、コロイド結晶化における全結晶化速度、結晶粒成長速度、結晶核生成速度の測定と解析を進めた。前年度までと同様に、全結晶化速度は紫外・可視分光光度計により、結晶粒成長速度と結晶核生成速度は光学顕微鏡観察により測定した。 全結晶化速度は、時間に対してべき乗則を保ちながら増大し、そのべき指数は固体粒子系を微重力下で測定した場合と同様の結果となった。マイクロゲル系が固体コロイド結晶化のモデル系として有用であることを意味する。 光散乱法によるマイクロゲルの「分子量」測定および希薄および濃厚分散系における粘度測定から見積もった粒子体積分率を用いて、結晶粒成長速度をWilson-Frenkel則により解析した。マイクロゲル粒子の化学ポテンシャルには粒子間のエンタルピー的な相互作用は寄与しない、すなわちエントロピーのみで決まると仮定し結晶化挙動を整理したところ、結晶化速度はWilson-Frenkel則に従うマスター直線に整理可能であることが示された。これは、静電反発力でコロイド結晶が生じる剛体球コロイド系において報告されている結果と同様である。これにより結晶粒成長速度の予想が可能となった。 結晶核生成速度は、分散液の過冷却度に依存して増大する通常の結晶化度同様の挙動を示したが、定量的な評価まではいたらなかった。 以上を踏まえて、巨大コロイド単結晶の作成条件を検討した。各種濃度および過冷却度において作成したコロイド結晶粒の初期濃度、過冷却度依存性を検討した。その結果、ミリメートルスケールのコロイド結晶作成条件を見出した。
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