ペンタエルスリトールを用いたL-ヒドロキシブタン酸およびD-乳酸の縮合により4本鎖型のポリ(L-ヒドロキシブタン酸)[P(L-2HB)]およびポリ(D-乳酸)(PDLA)を合成し、両者のブレンド材料におけるヘテロステレオコンプレックス(HTSC)形成挙動を検討した。4本鎖型P(L-2HB)/PDLAブレンドの結果を以前に報告されている直鎖型1本鎖のP(L-2HB)/PDLAブレンドの結果と比較した。その結果、4本鎖型P(L-2HB)/PDLAブレンドにおいても、1本鎖のP(L-2HB)/PDLAブレンドと同様に、両ポリマーの界面でHTSCが形成されることが分かった。また、HTSC結晶が形成される温度領域は1本鎖のP(L-2HB)/PDLAブレンドと比較して狭く、HTSC結晶のみが形成される温度領域が存在しなかった。これらのことは、分岐構造がHTSC結晶化を阻害することを示している。 さらに、広角X線測定および示差走査熱量測定により、直鎖型の側鎖を有するP(L-2HB)と分岐型の側鎖を有するポリ(2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸)のブレンドにより、HTSCが形成されることを初めて明らかにした。これは、ポリ乳酸とポリ(2-ヒドロキシブタン酸)の例に続き、ポリ乳酸系における2例目のHTSC形成の発見である。
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