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2012 年度 実施状況報告書

新しい架橋法による新規な三次元網目構造を持つ高分子ゲルの創製とその性質の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24550259
研究種目

基盤研究(C)

研究機関滋賀県立大学

研究代表者

廣川 能嗣  滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60436722)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード二段階調製法 / 後架橋 / ジビニル架橋法 / 高分子ゲル / 活性エステル / 膨潤度
研究概要

本研究の目的は、従来の調製法では得られなかった構造を持つ高分子ゲルの新規な調製法を構築し、得られた新しい構造を持つ高分子ゲルの性質を明らかにすることである。新規な調製法とは、従来のジビニル化合物を用いるゲル化(「ジビニル架橋法」)とは異なり、第一段階で架橋点となる反応性側鎖を持つ線状高分子を合成し、第二段階で架橋を行い、三次元網目を得る方法である(「二段階調製法(後架橋法)」)。
平成24年度は、「後架橋法」と「ジビニル架橋法」の2つを用いてポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ゲルを合成し、得られたゲルの膨潤度の温度変化について調べることにより、両合成法によって得られるゲルの性質の違いを明らかにしようとした。
「後架橋法」による合成ではまず、活性エステル基を有するモノマーであるアクリロイルオキシ-N-サクシンイミドとN-イソプロピルアクリルアミドをラジカル共重合することにより反応性側鎖を持つ感温性ポリマーを合成した。続いて、得られたポリマーに架橋剤としてエチレンジアミンを用い、種々の溶媒中で反応させて架橋を行い、高分子ゲルを合成した。この時、溶媒の極性が高いほどゲル化に長い時間を要した。しかし、得られたゲルの溶媒を水に置換し、膨潤度の温度依存性を調べたところ、調製時の溶媒に関わらずほぼ同じ挙動を示すことがわかり、三次元網目は同様の構造を形成していると考えられた。また、ポリマー中の架橋点となる活性エステル濃度を変化させることにより、膨潤度を制御でき、ゲルの網目構造は反応性側鎖を持つポリマーの構造のみによることが分かった。
一方、「ジビニル架橋法」によって得られるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ゲルは、調製時の溶媒によって膨潤度に大きな差が見られ、「ジビニル架橋法」では調製条件によって架橋密度や網目鎖の濃度が大きく影響を受けることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、想定したアクリルアミド系高分子ゲルの「二段階調製法」の構築および得られた高分子ゲルの基本的な性質の解明における次の二つの事項について検討し、結果を得る事ができた。
(1)アクリルアミド類と活性エステル基を持つビニル化合物を共重合し、構造の制御された線状高分子を得る条件を確立すること、および、(2)架橋反応に与える多価アミンの種類、高分子の濃度などの条件を検討し、ゲル化条件を確立することができた。

今後の研究の推進方策

次のような課題を想定して研究を推進する予定である。
(1)生成高分子ゲルの基本的な性質の解明:「二段階調製法」で得られる高分子ゲルの膨潤度の温度依存性等の膨潤挙動および機械的強度等の力学的性質を明らかにする。
(2)「二段階調製法」の特徴を生かした波及課題の基礎検討として、(2-1)高分子ゲルの内部構造の制御をめざし、親水性高分子、疎水性高分子や感温性高分子等の溶液を混合し、温度や濃度条件を変えることにより相分離を起こして自己組織化させ、架橋することにより構造を凍結して内部構造制御の可能性について調べる。また、(2-2)高分子ゲルの分子認識能を検討するために、高分子溶液中にタンパク質等の特定の分子を共存させて架橋反応を行い、三次元網目に分子認識能を持つ鋳型機能が導入できないか検討する。

次年度の研究費の使用計画

次の各項目を予定している。
・高分子ゲル調製用試薬、合成ガラス器具等の購入
・高分子ゲル評価用機器の購入
・研究発表会参加費、旅費

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 活性エステルを用いた後架橋法によるPNIPAAmゲルの合成と特性評価2012

    • 著者名/発表者名
      桂田章光、伊田翔平、谷本智史、廣川能嗣
    • 学会等名
      第61回高分子討論会
    • 発表場所
      名古屋工業大学
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] 水への親和性が異なるポリマーの共架橋によるゲルの調製とその評価2012

    • 著者名/発表者名
      河原徹、桂田章光、伊田翔平、谷本智史、廣川能嗣
    • 学会等名
      第61回高分子討論会
    • 発表場所
      名古屋工業大学
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] 高分子ゲルの膨潤特性に及ぼすネットワーク連鎖分布の影響2012

    • 著者名/発表者名
      伊田翔平、河原徹、桂田章光、谷本智史、廣川能嗣
    • 学会等名
      第61回高分子討論会
    • 発表場所
      名古屋工業大学
    • 年月日
      20120919-20120921
  • [学会発表] 後架橋によるビニル系高分子ゲルの創製(依頼講演)2012

    • 著者名/発表者名
      廣川能嗣、桂田章光、木村亮平、河原徹、藤田裕貴、伊田翔平、谷本智史
    • 学会等名
      第61回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20120529-20120531

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公開日: 2014-07-24  

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