研究課題/領域番号 |
24550260
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岡村 晴之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10316010)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハイブリッド光硬化系 / 光硬化樹脂 / レジスト / インプリント / モールド / 表面自由エネルギー |
研究概要 |
本研究課題「多波長光照射で制御する感光性高分子材料の設計指針」は、感光性高分子において、異なる波長の光を複数回照射することにより、高性能材料としての展開を図るものである。そこで、感光性高分子において、光重合・光分解系、光分解・光重合系、光重合・光架橋系と分類し、それぞれの検討を行った。光重合・光分解系においては、光照射により作製した樹脂モールドにおいて、光照射により樹脂モールドの表面エネルギーを制御することに成功した。この知見を基に、剥離剤を必要としない樹脂モールドへの応用を検討した。光照射により、剥離剤を用いず10回程度剥離可能な樹脂モールドを作製することができた。光重合・光架橋系においては、パターン露光後の樹脂の硬化反応に着目し、照射波長による樹脂強度の影響を検討した。感度は低いものの、254nm光照射が365nm光照射よりも効果的であった。光重合・光架橋系においては、カルコン含有ジメタクリラートの合成に成功し、その光重合・架橋挙動を検討した。光開始剤の選択や照射波長の変化により重合や架橋反応を制御できることを見出した。また、カルコン含有ジメタクリラートは光開始剤がなくても重合反応が進行する開始剤レス光硬化系であることがわかった。本系は実用において大変重要である。また、重合や架橋反応を制御することにより、雰囲気の影響を軽減できる可能性を見出した。これは、酸素による重合阻害を軽減できる系として興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
光重合・光架橋系において、光開始剤の選択や照射波長の変化により重合や架橋反応を制御できることを見出し、その結果、光硬化樹脂において問題とされている酸素阻害による硬化不良を軽減しうる、新規な系の発見につながったからである。また、カルコン含有ジメタクリラートは光開始剤非存在下においても重合反応が進行する特別な系であり、実用面において切望されている、新たな開始剤レス光硬化系として機能することを発見したためである。
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今後の研究の推進方策 |
光重合・光分解系においては、光照射により樹脂モールドの表面エネルギーと光照射条件との相関を接触角測定装置と走査プローブ顕微鏡を用いて詳細に検討する。光重合・光架橋系においては、パターン露光後の樹脂の硬化挙動を動的粘弾性測定により詳細に検討する。光重合・光架橋系においては、カルコン含有ジメタクリラートのスペーサー長の影響やクマリン、桂皮酸など他の光2量化ユニットを導入し、光・光ハイブリッド硬化系の構造、照射波長とその光硬化特性との影響を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を遂行するにあたり、消耗品であるガラス器具および試薬が必要となる。既存設備を有効に使用し、効率のよい研究をすすめるため、設備備品の申請はしない。成果発表費用として、年2回分に相当する国内旅費を申請する。
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