研究課題/領域番号 |
24550260
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岡村 晴之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10316010)
|
キーワード | デュアル光硬化系 / 光硬化樹脂 / レジスト / インプリント / 表面自由エネルギー |
研究概要 |
本研究課題「多波長光照射で制御する感光性高分子材料の設計指針」は、感光性高分子において、異なる波長の光を複数回照射することにより、高性能材料としての展開を図るものである。そこで、感光性高分子において、光重合・光分解系、光分解・光重合系と分類し、それぞれの検討を行った。光重合・光分解系においては、光照射により作製した樹脂モールドにおいて、光照射により樹脂モールドの表面エネルギーを制御することに成功した。この知見を基に、剥離剤を必要としない樹脂モールドへの応用を検討した。光照射により、樹脂の表面自由エネルギーを制御することにより、剥離剤を用いずに30回以上剥離可能な樹脂モールドを作製することができた。また、光重合・光分解系をチオール・エン硬化系へと適応し、チオール・エン連鎖重合の連鎖長が及ぼす影響について検討することができた。光重合・光分解系において、本研究課題で開発した新規光酸発生剤を用いて、405nm光を始めて光硬化系に用いることに成功した。この光硬化系はポリシランを含有しており、254nm光照射を用いた光分解系への適応可能性を見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
光重合・光架橋系において、まったく不明であったチオール・エン光硬化系の重合連鎖についての知見を初めて得ることができたためである。また、405nm光使用による光重合・光分解系の構築可能性を見出したためである。
|
今後の研究の推進方策 |
光重合・光分解系においては、チオール・エン光硬化系の重合連鎖長と材料物性の関係について詳細に検討する。405nm光使用による光重合・光分解系の構築を検討する。光重合・光架橋系においては、樹脂の硬化挙動を動的粘弾性測定により詳細に検討する。光重合・光架橋系においては、カルコン含有ジメタクリラートのスペーサー長の影響やクマリン、桂皮酸など他の光2量化ユニットを導入し、光・光デュアル硬化系の構造、照射波長とその光硬化特性との影響を明らかにする。今まで得られた知見を総括し、機能性材料として使用するにあたり必要不可欠な因子について抽出することにより、次の材料設計指針へと発展させる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
効率よい物品購入により、物品費を大幅に節約できたため。旅費を過剰に使用しているが、研究成果を積極的にアピールしているためである。 今年度に引き続き効率よい物品購入を心がけ、積極的な研究成果アピールを行うために旅費を使用する。最終年度は海外学会参加を予定しており、今年度以上の旅費を使用する予定である。
|