研究課題/領域番号 |
24560007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
RICINSCHI Dan 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (60403127)
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研究分担者 |
奥山 雅則 大阪大学, 基礎工学部, 名誉教授 (60029569)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マルチフェロイック / 第1原理計算 / BiFeO3 / 強誘電性 / 強磁性 / PLD / 薄膜 |
研究概要 |
擬立方晶と正方晶BiFeO3(BFO)の混合相が強誘電性や強磁性に与える本質的な影響を調べるため、Co置換BiFeO3 (BFCO)の結晶対称性や磁性秩序について第1原理計算を行った。種々の結晶対称性を有するBiFeO3とBiCoO3 の単位胞の計算を比較することにより、BiCoO3 (BFO-BCO)の計算パラメータがもとめられた。さらに、スピン―軌道結合と局在電子交換と相関を入れたLDA+U法第1原理計算を行った。色々な正方性の混合状態の特徴(正方性比c/a, Fe/Co-OやBi-O長、点電荷モデルの局在自発分極)の分布を調べるため、種々の反強磁性秩序のあるBFCO超構造格子を調べた。 菱面体晶と正方晶を有する超構造の配位を第1原理計算の全エネルギーから最適化し、12.5%Co置換BFCOの安定構造は菱面体晶でG型反強磁性秩序であるが、50%Co置換BFCOでは正方晶でC型反強磁性秩序となった。さらに12.5%Co置換BFCOの正方比の空間分布はBi-O off-centeringと同様であったが、自発分極はBi-O off centeringよりはFe/Co-O off-centeringに主に依存する。BFCO正方晶超構造の反強磁性秩序がAからC型に変わる時正方性はあまり変わらないが、G型秩序は正方晶BFCO超構造の解析から最も小さいc/aを与えた。 磁気電気効果に関しては、Co置換が磁化増加に有効であり、12.5%Co置換BFCOの20emu/cm3から50%CoドープBFCOの80emu/cm3まで増えた。 実験的には、蒸発種が強磁場によって反応を促進する磁気支援PLDによりBFO薄膜を作製した。磁場により蒸発種の軌道を変化することで、作製された薄膜は柱状構造を示した。磁場支援PLDで作製されたBFO薄膜の誘電分極履歴特性は改善され、磁化は少し増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は計画通り順調に進んでいる。研究代表者は研究計画に基づいて第1原理計算を進めることができた。また研究分担者はBFO薄膜を作製し強誘電性や強磁性の評価を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者はBFO系材料の第1原理計算を続ける予定である。まず、磁性元素の多電子分布の有効性を考える。つまり、大きなスピン、小さなスピンや中程度のスピンの電子分布の結合から、補償されない磁性モーメントによって磁化を増大させると考えられる。 実験面では、研究分担者は大きな正方性を有するBFO薄膜と大小の正方性が混合するBFO薄膜を作製し、強誘電性と強磁性がどのように改良するかを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究予算は第1原理計算を実行するための計算センター利用料金およびレーザー用ガス、基板、AFMカンチレバーの購入の費用に充てられる。さらに研究代表者と研究分担者が研究結果を国際・国内会議で発表するための旅費や論文掲載のために充てられる。 効率的に1原理計算されて、計算の料金が下がったのでH24年度に未使用額があった。未使用額も次年度の計画のために使用する。
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