本課 題は、強誘電性と強磁性を共有しかつ相互作用する結晶についての研究である。(i)強誘電性は永 久電気双極子、つまり正と負に帯電した結晶内原子の電荷中心が場所的にずれて存在することで生じ、また(ii)強磁性は、結 晶内原子に局在する電子のスピンの磁気双極子が互いに打ち消し合わずに一定の方向に揃うことによって生じる。我々はBiFeO3系材料に注目 し、電気分極に直接関係する単位格子内原子配位を、磁気分極を発現するFeの電子殻軌道 のつめ方を変えて、調べた。理論計算の結果、いくつかの新しい結晶対称性が作製条件をうまく選べば、室温で強誘電性と強磁性を同時に 存在し相互作用もあることがわかった。
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