研究課題/領域番号 |
24560010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
三宅 秀人 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70209881)
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研究分担者 |
平松 和政 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50165205)
直井 弘之 和歌山工業高等専門学校, 電気情報工学科, 准教授 (10373101)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 窒化物半導体 / AlN / GaN / 深紫外光源 / 電子線励起 / AlGaN / MOVPE |
研究概要 |
UV-C領域(波長280nm以下)における光源開発を行うため,AlGaNをターゲットとして用いた電子線励起による深紫外光源の作製を試みてきた。本研究では、深紫外光源のさらなる発光出力の向上を目指すため,SiドープAlGaN 多重量子井戸を作製し、その発光特性の評価を行った。 高出力かつ高効率な電子線励起深紫外発光を得るために、SiドープAlGaN多重量子井戸構造を作製し、検討を行った。井戸層について、井戸層幅がおおよそ1.5nmにおいて最も発光特性が良好であることを確認した。障壁層について、障壁層幅が7nm付近で最大発光強度を観測した。また、障壁層のAlNモル分率変化について、格子ミスマッチMは障壁層の低AlNモル分率化に伴い増加傾向を示した。また、CL発光強度は障壁層AlNモル分率=74.0%のとき、最も優れた発光特性を示した。Siドープ量の検討について、CH3SiH3流量が0.68nmol/minのとき、最大発光強度であったことから、井戸層へのSiドーピングにおける有用性を確認した。AlGaN結晶性の検討について、AlGaNの結晶性が良好なサンプルほど格子ミスマッチMは小さくなり、それに伴い発光強度は増大する傾向がみられた。電子線励起による深紫外光源の発光特性について、電子線の入力が2.0Wで15mWを超える発光出力を達成することができ、電気-光変換効率は0.75%を超える値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高出力かつ高効率な深紫外発光を得るために、Siドープ AlGaN多重量子井戸を作製し、検討を行った。井戸層の検討について、井戸層幅がおおよそ1.5nmにおいて最も発光特性が良好であることを確認した。約1.5nmより薄い場合において、発光強度減少の主な原因は、井戸層と障壁層間における界面の鋭さの影響により引き起こされたと示唆される。さらに約1.5nmより厚い場合におけるCLピーク強度の減少は、量子井戸中の内部電界によって引き起こされた波動関数分離の増加によると考えられる。 障壁層の検討について、障壁層幅が7nm付近で最大発光強度を観測した。7nmより厚い場合において、井戸層へのキャリア注入効率が低下したためと考えられる。7nmより薄い場合は、波動関数が重なることによって、本来の量子サイズ効果が得られなくなり効率よく発光に寄与しなかったものと考える。障壁層のAlNモル分率変化について、格子ミスマッチMは障壁層の低AlNモル分率化に伴い増加傾向を示した。また、CL発光強度は障壁層AlNモル分率=74.0%のとき、最も優れた発光特性を示した。 AlGaN結晶性の検討について、AlGaNの結晶性が良好なサンプルほど格子ミスマッチMは小さくなり、それに伴い発光強度は増大する傾向がみられた。高AlNモル分率AlGaNはAlN下地基板からの転位が伝搬されやすく、それが貫通転位として引き継がれるため、発光強度に影響したと考えられる。 電子線励起による深紫外光源の発光特性について、電子線の入力が2.0Wで15mWを超える発光出力を達成することができ、電気-光変換効率は0.75%を超える値であった。また発光出力寿命は10,000時間以上と長寿命な結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
原料ガスであるトリメチルGa(TMG)とトリメチルAl(TMA)の供給に対して,その取り込み割合は原料III族比と一致しない。また,その割合は成長温度やキャリアガスによって大きく異なる。このようなAlGaN混晶のエピタキシャル成長における組成の成長条件依存性を正確に把握して,成長原料の供給や成長温度を変調することで,発光の帯域を自由に制御することを狙う。例えば,原料供給III族比を一定に成長温度を高温から低温に変えることでAlGaN組成は高Al組成層から低Al組成層に変化して,発光波長も連続的に変化する広帯域発光が実現できると考えられる。 これらの研究と平行して,サファイアのプロセス技術を構築して光取り出しのための凹凸構造などを検討する。平成24年度研究を基に,AlGaN混晶の制御を確立し, AlGaN多重量子井戸構造の作製で,組成や膜厚を制御する基礎となる成長パラメータを明らかにする。また,以上の結果を応用する光源として,電子線励起の250-260nm単色発光光源,240-280nm帯の広帯域発光光源を試作する。また,280nm帯の受光素子としても応用も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表のための旅費と、MOVPE法によるエピタキシャル成長の消耗品に主に使用する。
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