チタン酸鉛型ペロブスカイト型強誘電体でみられる大きな正方晶歪みの発現機構を明らかにするため,高エネルギー放射光回折実験と第一原理計算を用いた研究を行った.チタン酸鉛に鉄酸ビスマスを固溶することにより,鉛と酸素間に加えてビスマスと酸素間のダブルの軌道混成が起こり,巨大な正方晶歪みが発生することが明らかとなった.さらに,ビスマスを含む固溶体の電子密度解析により,ビスマス原子と酸素間の軌道混成は高対称相の特異な熱的ゆらぎを引き起こすことを明らかにした.これらの成果は,ビスマスをベースとした物質設計の指針を与えるものと期待される.
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