研究課題/領域番号 |
24560016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
八方 直久 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (30285431)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スピントロニクス / 局所構造解析 / 原子分解能ホログラフィー |
研究概要 |
我々は、高速動作と低消費電力が期待されるスピントロニクス(電子の電荷とスピンの両方を利用した機能デバイス)材料の希薄磁性半導体Ge1-xMnxTeについて、その結晶構造を調べる研究を行っている。2012年度は、前年度(2011年度)に実施した GeMnTe の Te 4d 光電子ホログラフィー実験の結果を解析し、磁性の国際会議(2012年7月、韓国・釜山)などで発表した。また、1試料だけの結果であるが、歪んだ菱面体構造(x=0)から岩塩型構造(x=0.4)に変わる様子を報告することができた。 今後の試料準備のために、これまで Si-Ge 系の薄膜試料を作製していた分子線エピタキシー装置を、Ge-Te 系の試料が作製できるように改造した。今年度については、試運転も兼ねて書き換え型光ディスク材料 Ge-Sb-Te 系結晶作製を試みた(学部4年生卒業研究テーマ)。その結果、多結晶膜の作製に成功し、今後の Ge-Mn-Te 系試料作製に目処をたてることができた。 また、Ge1-xMnxTeと同様に3元系混晶である、III-V族混晶半導体 In1-xGaxSb バルク結晶や、形状記憶合金 FeTiNi バルク結晶や、室温強磁性半導体 Mn 添加 ZnSnAs2 薄膜結晶、Co 添加 Ti02 薄膜結晶などについて、蛍光X線ホログラフィー実験を行った。(蛍光X線ホログラフィーは、光電子ホログラフィーと同様に、物質中の局所的な原子配列を3次元的に調べることができる実験手法である。)その内、In1-xGaxSb については、論文にまとめて Phys. ReV. B 誌に投稿し、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強磁性半導体の局所的な原子配列を調べる試料準備のために、これまで Si-Ge 系の薄膜試料を作製していた分子線エピタキシー装置を、Ge-Te 系の試料が作製できるように改造し、今後の Ge-Mn-Te 系試料作製に目処をたてることができた。(試料準備に関する達成度:概ね80%) また、1試料だけであるが、前年度までに実施した GeMnTe の Te 4d 光電子ホログラフィー実験の結果を解析し、磁性の国際会議(2012年7月、韓国・釜山)などで発表した。 また、原子分解能ホログラフィー技術を使用して、他の3元系混晶、III-V族混晶半導体 In1-xGaxSb バルク結晶や、形状記憶合金 FeTiNi バルク結晶や、室温強磁性半導体 Mn 添加 ZnSnAs2 薄膜結晶、Co 添加 Ti02 薄膜結晶などについて、局所構造解析を行った。その内、In1-xGaxSb については、論文にまとめて Phys. ReV. B 誌に投稿し、掲載された。(測定・解析と成果発表に関する達成度:概ね80%)
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今後の研究の推進方策 |
2012 年度に改造・再整備した分子線エピタキシー装置を使用して、Ge-Mn-Te 系試料作製を実施する。試料準備を完了させて、SPring-8 での光電子ホログラフィー実験を実施したい。 Ge-Mn-Te 系試料の母体である GeTe について、蛍光X線ホログラフィーの実験結果を論文にまとめて雑誌投稿を行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料作製・準備のための設備整備は、2012 年度に概ね実施することができたため、今後は、試料原料などの消耗品費や、出張実験のためや学会発表の旅費などに使用する予定である。
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