擬ギャップ相は高温超伝導銅酸化物の複雑な超伝導相図を特徴づける電子相として注目されている。本研究では、集束イオンビームで微細加工された銅酸化物単結晶の微小接合素子に対する面間微分伝導度スペクトル測定を行い、擬ギャップ的挙動の観測とスペクトルへの影響が問題となった自己発熱効果の低減に取り組んだ。接合面積が1平方マイクロメートルかつ接合数が10個以下の微小な少数接合素子を集束イオンビーム加工のみで作製することに成功し、微分伝導度スペクトルの温度変化から擬ギャップの観測に成功した。さらに、ギャップサイズの精密測定に向けて微分伝導度測定の短パルス化を検討し、1桁以上短縮できる見通しを得た。
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