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2012 年度 実施状況報告書

低エネルギー損失に向けた炭化ケイ素トランジスタの絶縁膜/炭化ケイ素界面の高品質化

研究課題

研究課題/領域番号 24560023
研究機関名古屋大学

研究代表者

田岡 紀之  名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (50626009)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードSiC / MOS界面 / 界面準位
研究概要

SiC MOS界面の特性を把握するために、次に示すプロセスによって、MOSキャパシタを作製した。そのMOSキャパシタの電気特性を、C-V法およびコンダクタンス法によって、詳細に界面特性を評価した。
SiC基板上に原子層堆積法によって、Al2O3を堆積した。また、比較用に、Si基板も用いた。その後、400-800℃で熱処理を行った。これらの試料にAlゲート電極を形成し、MOSキャパシタを作製した。
SiC MOSキャパシタでは、Si MOSキャパシタと比較して、非常に多量の遅い準位および界面準位が存在することが明らかとなった。また、注目すべきは、コンダクタンスカーブの周波数軸方向への広がりが、SiC MOSでは、Si MOSよりも小さいことである。このコンダクタンスカーブの広がりの大きさは、界面に存在する電荷量に対応する。そのため、実験結果から、SiC MOS界面の界面電荷量は、Si MOSと比較して小さいことになる。これを説明するためには、Si MOS界面には、遅い準位と界面準位に比較して、多量の固定電荷を考える必要があり、一般的なSi MOS界面の性質からは考え難い。
また、SiC MOSキャパシタとSi MOSキャパシタの界面に存在する界面準位の性質が異なることが明らかとなった。Si MOSでは、伝導帯端近傍にアクセプタ型の界面準位が存在した。この結果は、一般的なSi MOS界面の性質と一致する。一方で、SiC MOS界面では、ドナー型の界面準位存在することが明らかとなった。これらの違いが、本質的に基板材料に起因しているかどうかを明らかにすることが重要であると考えられる。これについては、次年度以降の課題としたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画においては、SiC単結晶の結晶性(モザイク度)の定量化を本年度に行うことにしていたが、近年のSiC基板の品質が向上いるため、結晶評価よりも、MOS界面評価を優先的に行った。
SiC MOS界面評価においては、まず、SiC MOSに適した評価方法の確立を目指した。学会発表にまで至っていないが、SiC MOSでは、室温付近において、高周波C-Vカーブを取得することが非常に困難であることが見いだせている。このことは、室温付近のC-Vを使ったTerman法では、界面準位密度を正確に見積もることができないことを示している。また、表面ポテンシャル揺らぎについても、SiC MOSキャパシタでは、Si MOSキャパシタとことなる傾向が見られており、非常に興味深い結果が出始めている。

今後の研究の推進方策

引き続き、SiC MOS界面の評価方法の確立および詳細評価を中心に研究を行う。また、絶縁膜の種類または、界面構造の異なる絶縁膜/SiC界面を形成し、その電気的特性、化学結合状態および界面構造をXPSおよびTEMを用いて評価する。さらに、コンダクタンス法によって、界面準位の性質を明らかにし、表面ポテンシャル揺らぎから全電荷量密度を求め、界面構造が界面特性に与える影響について詳細に調べる。これらの解析を通してSiC MOS界面に適した界面構造を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

繰り越し金および本年度の予算で、高性能LCRメータを購入し、MOS界面評価の精度を向上させる。また、様々なSiC MOS界面構造を形成するために、SiC基板を購入する。さらに、研究を加速するために、外部機関によって、TEM観察、MOSFET作製のためのイオン注入を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Al2O3/SiC MOS界面における伝導帯端近傍の界面特性2013

    • 著者名/発表者名
      田岡紀之
    • 学会等名
      2013年春季 第60回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      神奈川工科大学
    • 年月日
      20130328-20130328

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公開日: 2014-07-24  

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