量子論的アプローチにより,GaAs(001)上のInA-(2×3)ぬれ層を中心に,成長条件である温度,分子線圧力を考慮した,表面構造ならびに吸着・脱離を含む成長過程について検討した。その結果,従来安定と考えられていたぬれ層表面構造である(2x3)表面は成長条件下で不安定であること,(2x3)表面上ではInAs成長は進行しないことを明らかにした。これは,In 原子の吸着によって生じる,表面での大きなひずみに起因すると考えられる。このひずみを緩和するために,ダイマー欠損を有する(4x3)表面が出現し,In-Asダイマー形成,Asダイマー脱離を繰り返すことで成長が進行することを見いだした。
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