研究課題/領域番号 |
24560032
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
堀邊 英夫 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00372243)
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研究分担者 |
河野 昭彦 金沢工業大学, 工学部, 講師 (40597689)
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キーワード | 水素ラジカル / 高分子固体 / 表面反応 / アレニウス則 / レジスト / 活性化エネルギー / 主鎖架橋型ポリマー / 主鎖崩壊型ポリマー |
研究概要 |
平成25年度は,ArF用レジストのベースポリマーであるPMMA系ポリマーの水素ラジカルによる除去性について検討した.まず,PMMA系ポリマーにおいて,ポリマーの熱分解温度とポリマーの除去速度とは相関が無いことが明確になった.その後,側鎖の化学構造を変えたポリマーの除去速度比較により,主鎖架橋型ポリマーおよびベンゼン環を有するポリマーは,除去速度を低下させることがわかった.よって,主鎖崩壊型かつベンゼン環を含まないポリマーが比較的容易に除去できることから,加熱触媒体法を用いて生成した水素ラジカルによるレジスト除去方式は,ArF用レジスト(ベースポリマーがPMMA系で,主鎖崩壊型かつベンゼン環を含まないポリマー)の除去プロセスに有用であるといえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の実施報告書には,以下のように記載した.近年,光・電子デバイスの多様化,高精細化の進展に伴い,レジストの露光波長の短波長化が求められている.実際,レジストの露光光源は,波長436/365nm(g/i線)→波長248nm(KrFエキシマレーザー)→波長193nm(ArFエキシマレーザー)と短波長化している.これに伴い,レジストのベースポリマーも,ノボラック樹脂(g/i線用)→ポリビニルフェノール(KrF用)→ポリメチルメタクリレート(PMMA)(ArF用)へと変遷している.水素ラジカルによるレジスト除去技術の実用性を明らかにするためには,レジストの化学構造と除去性との関係の解明が不可欠といえる.将来的に配線サイズの更なる微細化が進めば,PMMAをベースとしたArF用レジストによるプロセスが主流となる.水素ラジカル照射による化学構造が異なるPMMA系ポリマー薄膜の除去速度(反応速度)を評価して,ポリマーの化学構造と水素ラジカルによるポリマー除去性との関係を明らかにする. 平成25年10月1日から金沢工業大学バイオ・化学部応用化学科から大阪市立大学院工学研究科化学生物専攻に異動し,関連装置は平成26年2月に引っ越した.当初は進捗に若干遅れは出たが,現在は当初の予定通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
水素ラジカルとレジストとの気相-固相反応に,本来気相-気相反応に適用されるべきアレニウス則を,以下の考えで適用し,反応時の活性化エネルギーを求める.生成直後の水素ラジカルは「触媒体温度-1000℃」に相当する高い運動エネルギーを有するため,水素ラジカルとポリマーは熱的非平衡状態にあるといえる. 触媒体と基板との距離を100mm以上とし,水素ラジカルと気相中のガス分子との衝突回数を増加させ,水素ラジカルの運動エネルギーを緩和させる.この手法により求めた各種ポリマー,レジストの活性化エネルギーと得られた分解(除去)速度の結果とを合わせて,ポリマー,レジストと水素ラジカルとの反応機構(反応の律速因子,分解反応のスキーム)を解明する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年10月1日から金沢工業大学バイオ・化学部応用化学科から大阪市立大学院工学研究科化学生物専攻に異動し,関連装置は平成26年2月に引っ越した.装置立ち上げ費用,及び次年度の人件費として費用を残した. 異動した関連装置の立ち上げ費用,及び次年度の人件費として使用予定である.
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