研究実績の概要 |
生体親和性・化学安定性等の高機能を有するナノダイヤモンド(ND)粒子の特性を利用した、核磁気共鳴画像法(MRI)新規造影剤適用を目指したガドリニウム(Gd)担持ナノダイヤモンド粒子作製法の開発を目的とする。 当該年度においては前年度までに作製手法を確立したGd担持ND粒子について、各種粒径におけるMRI造影能発現について検討するとともに、新規造影剤としての将来的な体内動態について検討するため、正常肝細胞による細胞毒性試験を行った。 前年度までに作製手法を確立したGd担持ND粒子(粒径 5 nm)について、当該年度においてはさらに粒径10 nmND粒子を用いてGd担持ND粒子作製を検討したところ、粒径5 nm品と同様の手法により10 nm品においても作製が可能であることが明らかとなった。粒径2種類(5, 10 nm)のGd担持ND粒子を用いて前年度と同様に1.5 T MRI装置によるGd-DTPA-ND分散液(0.1 w/v %リン酸バッファー溶液および注射用水)のT1強調画像を撮影したところ、未処理ND分散液と比較してGd-DTPA-ND分散液は同様の高い信号強度を示し、Gd-DTPA-ND粒子は粒径5, 10 nmともに高い造影剤能を有することが明らかとした。特に、粒径 5 nm品については既存造影剤との信号強度比較を行ったところ、Gd濃度1/10においても同等の造影増強効果が観察され、低使用量を可能とする新規造影剤となることが期待される。 さらに、Gd担持ND粒子(粒径 5 nm)を用いた肝細胞による細胞毒性試験を行ったところ、既存造影剤と比較して同様の結果を示し、in vitroにおいては問題のないことが明らかとなった。
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