研究課題/領域番号 |
24560039
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉村 博幸 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90261354)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | バイオメトリクス / 光情報処理 / 指紋認証 / 暗号化 |
研究実績の概要 |
前年度はまず,指紋認証における最適画像抽出サイズが96×96ピクセルであることを明らかにした。次に,指紋画像の各ラインにおけるグレースケールの非整数次コサイン変換および非整数次サイン変換の振幅分布を用いて指紋画像テンプレートを作成すれば,認証精度が非常に高くEERは10の-6乗オーダーであることを明らかにした。しかし本手法では,本人認証においてIDカードの所持が必要不可欠であり,指紋は従来のパスワードの代用に過ぎない。 本年度は,バイオメトリクスの長所を最大限に活かすため,本提案手法において指紋だけで本人認証が可能であるかどうかについて検討を行い,認証精度について前年度得られた結果と比較を行った。その結果,指紋画像テンプレート作成方法については前年度と同様,指紋画像の各ラインにおけるグレースケールの非整数次コサイン変換および非整数次サイン変換の振幅分布を用いればよいことを明らかにした。なお,テンプレート生成条件つまり変換次数の変動範囲が前年度の0.1から1.0とは若干異なり,0.3から1.0とすべきことを明らかにした。また,認証精度は前年度の結果10の-6乗オーダーより低く,EERは1.86%であった。しかし,指紋認証機器においてすべての人に対して変換次数を固定してしまうのではなく,指紋の特徴点情報を利用して変換次数を個人個人でそれぞれ決めることにより,認証精度の高精度化が可能であることを明らかにした。 さらに本年度は,本提案手法をレーザー光とレンズ等による光演算処理にて実現すべく光学素子の設計を行ったが,あいにく所望の成果が得られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,最終的には,レーザー光やレンズ,光学素子等を用いた光演算処理による指紋認証機器の高精度化ならびに高速化を目指している。しかしながら,本手法で提案する指紋画像テンプレートを光演算処理を利用して平易に実現するための光学素子の設計が思うように進んでいないため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き,昨年度購入した「レーザー・物理光学・光学解析・設計・評価ソフト:GLAD」を用いて,所望の光演算処理を平易に行うための光学素子の設計を行う。さらに,レーザー光とレンズ,本素子等を組み合わせた光演算処理を実際に構築し,試作することを最終的に目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,「非整数次フーリエ変換を利用した指紋認証機器」をレーザー光やレンズ等を用いた光演算処理による実現を目指している。 今年度は本光演算処理システムをシンプルに構成すべく「回折光学素子によるオール光指紋認証システムの検討」を進めてきたが,本回折光学素子の設計・構築が思うように進んでおらず本指紋認証システムの試作に至っていない状況である。
|
次年度使用額の使用計画 |
所望の回折光学素子の設計,構築するための費用,およびこれを使用した「オール光指紋認証システム」の試作費にあてる予定である。
|