【最終年度に実施した研究の成果】 今年度は,コンピュータの数値計算に基づいた方法ではなく,処理速度の高速化を図るため,光情報処理システムによる指紋テンプレート生成方法および認証方法について検討を行った。具体的には,指紋原画像のコアを中心に縦96ピクセル×横96ピクセル切り取り,グレースケールを2値化した画像を16等分割し,分割された各々の画像に対して次数の異なる二次元非整数次フーリエ変換を行う方法を提案し検討を行った。その結果,非整数次フーリエ変換によって得られた結果の位相分布を指紋テンプレートとすることにより,また非整数次フーリエ変換の次数範囲を0.1から0.6とした場合,認証誤差は10の-3乗のオーダとなった。この結果は前年度までのコンピュータによる数値計算に基づいた方法より認証精度は劣るものの,現状の指紋認証機器と同程度の認証精度が得られることを明らかにした。 【研究期間全体を通じて実施した研究の成果】 現状より高速高精度高秘匿な指紋認証機器を実現するため,非整数次フーリエ変換,非整数次コサイン変換,および非整数次サイン変換を利用した方法について検討を行った。その結果,コンピュータの数値計算に基づいた指紋認証においては,一次元非整数次コサイン変換もしくはサイン変換を行い,変換次数範囲を前者では0.0から0.3,後者では0.0から0.5とした場合,得られた結果の位相分布を指紋テンプレートとすることにより,認証誤差を10の-7乗のオーダーとすることができた。一方,指紋認証高速化実現のために導入した光情報処理システムに基づいた指紋認証においては,【最終年度に実施した研究の成果】に記述した通りの結果が得られた。
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