研究課題/領域番号 |
24560043
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
金 蓮花 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (40384656)
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研究分担者 |
近藤 英一 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70304871)
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キーワード | 光計測 / 偏光計測 / 光散乱 / 散乱モデル |
研究概要 |
本研究は,物体表面による散乱光の完全な情報を迅速・コンパクトに取得・表現できる「偏光指紋」の構築することを目的としたものである. 試料表面による散乱光は半球に広がり,各方向での散乱光の高精度な偏光情報の取得は,正確な「偏光指紋」の構築および解析モデルの確立に不可欠である.そのため広いダイナミックレンジの散乱角に対応できる計測装置の開発を行った. 本計測装置を用いて計測された偏光情報は,本研究で新たに提案した3次元座標系に従いプロットされ,試料の偏光指紋とした.試料の表面構造によりその偏光指紋は大きく異なると予想される.これまでは等方性の表面粗さをもつガラス・鉄の表面による偏光指紋を構築した.また偏光指紋から,試料の解析モデルの確立を試みた.ガラスの解析モデルでは,減衰係数を考慮しなければならないことが分かった.鉄の解析モデルでは,試料表面の一層構造および二層構造モデルを用いた.両モデルとも鉄の偏光指紋を一定程度で説明できた.さらに正確なモデルの確立が必要であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は,Out-of-plane散乱光の高度な偏光情報を測定するため,初年度(24年度)のIn-plane計測だけ可能だった計測装置を改造し,鉄の表面における散乱光の広いダイナミック散乱角レンジで偏光計測および解析を中心に行った.また,解析に必要な3次元座標系を新たに提案した.本座標系を用いて試料の偏光指紋を表すために,横散乱角と縦散乱角を新たに定義した.これらの散乱角を用いた偏光計測結果から,鉄の表面(等方性)による散乱光の偏光特性は入射角と横散乱角に依存せず,横散乱角だけに依存することを発見した.この現象を裏つけるため,試料表面を一層構造、二層構造として見なし数値解析を行った.両モデルともこの現象を一定程度で説明することができた. 以上,「偏光指紋」の構築と解析がほぼ所定の目標を達成した.
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今後の研究の推進方策 |
初年度と昨年度は、In-planeとOut-of-plane散乱光の偏光情報の取得および解析を主に行った.また偏光解析を行うため,新たな座標系の提案を行った.本年度は,その座標系を用いて,様々な試料の偏光指紋の構築を試みる.試料の表面構造(等方性か異方性)により,同じ物質であってもその偏光指紋は大きく異なる.3次元に広がる散乱光の偏光指紋を正確に取得することはより正確な解析モデルの確立につながる.各応用分野における試料を種類及びその状態に細かく分類し,試料ごとの偏光指紋のデータベースの構築を行う.これらのデータベースを用いて解析を行い,応用分野に対応するより正確なモデルの確立を試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
散乱試料の作製の依頼を予定していたが、無料で手に入れることができ、次年度使用額が生じた. 論文掲載費の一部と散乱試料の購入
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