本研究は,物体表面による散乱光の完全な情報を迅速・コンパクトに取得・表現できる偏光指紋を構築し,解析モデルの確立を目的としたものである. 正確な解析モデルを確立できると,構築された偏光指紋から測定物体の同定ができる.そのために,散乱の原因および偏光指紋への影響を調べる必要がある.昨年度までの異なる試料における偏光指紋の解析から,散乱表面状態により光回折現象とマルチ散乱現象が散乱光の偏光状態に影響することが分かった.そこで,光回折現象と散乱光の偏光状態の関係を定量的に解析するために,様々な材料を用いて,様々のスリット幅をもつ回折試料を製作し,基礎実験を行った.回折光の偏光状態とスリット幅の関係は非常に薄く,材料と大きく関係があることが確認された.今後は回折光の影響を考慮した偏光指紋の解析モデルを確立したい.
|