(1)ピエゾアクチュエータ(PA)を用いた全ファイバ構成のQスイッチレーザ ファイバ伝搬損失の制御をPAで効率良く実施するため、以下の研究を進めた。①動的マイクロベンドによる損失ピークがレーザの利得波長帯に合致するように周期を調整し、且つ結合効率向上のためデューティ比の最適化を行った。② PA負荷を軽減し、ファイバへのマイクロベンド形成・消去を繰り返すため、クラッド形状は保ったまま、被覆層のみを偏平化させた。③PAの立下り(高Q時)にはファイバ弾性による遅れを補償するため急峻な励起電流パルスを加え、PAの立上り(低Q時)には応答速度を上げるため励起電流を瞬時に遮断する変調励起を併用した。その結果、全ファイバ構成のQスイッチTmファイバレーザを実現し、出力100 mW程度の1.6μm帯LDを励起光源として、発振波長1.9μm帯、ピーク出力Wクラス、パルス幅1μsのレーザパルスを得た。 (2)電磁石駆動ファイバグレーティングを用いたファイバ内波長制御 全ファイバ構成で発振波長制御を行うため、コイルばねを利用してファイバ中に長周期ファイバグレーティング(LPFG)を形成した。従来、光学ステージで機械的に圧力印加していたものをコイルばねと電磁石を用いて電圧制御できるようになり、発振波長の再現性向上と切替え時間の短縮を得た。さらに、LPFGを形成するファイバを2モードファイバとすることでコアモード同士の結合を利用でき、損失帯幅が拡大した。Tmファイバレーザ共振器内に可変LPFGを挿入し損失波長帯をシフトすることで1.9μm帯での発振波長を可変とした。さらに、最終年度ではコイルばねの特長を生かして、ピッチを一部変えることで位相シフト構造を盛り込み、損失帯域内にパスバンドを形成できた。パスバンドのシフトを発振波長制御に使用することで安定した波長可変性が得られると考え現在研究を進めている。
|