研究課題
符号の異なる誘電率を持つ媒質による多層膜構造は,双曲線分散関係を示し光の状態密度が大きく増強することが期待される.本研究ではそれをTHz波発生に応用することを目的としている.この目的の実現のためにいくつかのテーマに分けて行った.まずTHz域のメタマテリアル作製およびその評価である.今回,イオンビームスパッタによりSi基板上に金を製膜し,フォトリソグラフィーにより金属ロッドメタマテリアル構造を実際に作製した.この構造をTHz時間領域分光法により透過測定した.TM波とTE波に対する透過率に大きな違いが出ており,よく知られている偏光特性が確認できたと同時に,プラズマ周波数が大きく低減された試料の作製に成功した.これらの結果はFDTD法による数値計算ともよく一致している.この構造はTHz域の双曲線メタマテリアルにおける負の誘電媒質として用いることが期待できる.また今回,双曲線メタマテリアルの基礎特性の理解のために,可視域の金属-誘電体多層膜を作製し,双曲線メタマテリアルとしての動作確認を行った.金-SiO2の多層膜構造を作製し,その上に色素を塗布し,発光特性を調べた.そして双曲線メタマテリアルにおいて期待される広帯域のパーセル効果の実証に成功した.またこの効果が色素の種類や膜厚比などにより異なることも確認できた.一方,THz波発生媒質として,有機色素分子によるポールドポリマーの検討を行った.今回,サンプルにおける第二高調波発生に加えて偏光吸収分光を行うことでポールドポリマーの作製条件の吟味を行った.その結果,印加電圧の最適値など有用な情報が得られた.
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J. Raman Spectrosc.
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DOI: 10.1002/jrs.4663
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http://dx.doi.org/10.1364/JOSAB.31.001393