研究課題/領域番号 |
24560049
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
徳田 安紀 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (80393502)
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研究分担者 |
坂口 浩一郎 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10551822)
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キーワード | photodiode / quantum effect / optical bistability |
研究概要 |
本研究の第一の目的は,pin型のフォトダイオードに新しい機能としてある特定の波長領域のみ高い感度を有する波長選択受光機能をもたせることである.その実現ために,半導体量子井戸構造における励起子吸収ピークの電界依存性と量子井戸間のトンネル効果による量子準位の反交差現象を利用することを考えている. 昨年度は,新たに導入した専用のデバイスシミュレータを立ち上げ,光吸収層にGaAs/AlGaAs系の量子井戸構造をもつpin型フォトダイオードに対して,これまで論文で報告されている実験結果と定性的だけでなく定量的にもほぼ一致する励起子吸収スペクトルおよびその電界依存性が再現できることを確認した. 今年度は,さらに,このデバイスシミュレータを用いて,本研究で利用するもうひとつの物理現象であるトンネル効果による量子準位の反交差現象についての検討を行った.異なった井戸幅をもったふたつのGaAs量子井戸層を薄いAlAs障壁層を介して結合させたGaAs/AlGaAs系の非対称結合量子井戸構造に対して,量子準位の電界依存性を計算した.そして,その構造パラメータ依存性の検討から,量子井戸間の障壁層をうまく選べば,適度な量子準位間の反発が得られることを確認した.これらの結果を基に,振動子強度の変化を仮定し波長選択受光が原理的に可能であることを示した. さらに,第二の目的である不可逆的な光双安定特性,すなわち,孤立した光安定状態を得る方法の検討も前倒しで開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション環境の基本整備を終え,本研究で利用する量子井戸構造における励起子吸収ピークの電界依存性および非対称結合量子井戸構造の量子準位の電界依存性がシミュレーションできるようになり,波長選択受光機能をもったフォトダイオードが原理的に実現可能であることを示し,AlGaAs/GaAs系デバイスの設計に取り掛かった. さらに,前倒しで孤立した安定状態を得るための不可逆的な光双安定特性の取得方法について検討を開始した.
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今後の研究の推進方策 |
専用デバイスシミュレータを用いて,AlGaAs/GaAs系非対称結合量子井戸構造における吸収スペクトルの電界依存性を励起子効果を取り入れて計算する手法を構築し,振動子強度の変化を具体的に見積もり,波長選択受光機能をもったフォトダイオードの設計につなげるとともに,他の材料系への展開も検討する. また,波長選択受光機能のモデル化を行い,汎用ソフトウエアによるデモを行う. さらに,孤立した安定状態を得る条件を見出し,応用の検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越金の発生は,主に計算機関連の物品購入を共通して使用する他の研究予算により購入したことなどによる. 消費税率アップによる費用の増加分などにあてる予定.
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