研究課題/領域番号 |
24560049
|
研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
徳田 安紀 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (80393502)
|
研究分担者 |
坂口 浩一郎 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10551822)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | photodiode / optical bistability / optical multistability / coupled quantum well / quantum effect / tunnel effect |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,量子ナノ構造に発現する物理現象を利用し,光通信をはじめとする光エレクトロニクスのキーデバイスのひとつであるpin型フォトダイオードに新しい機能を持たせること,および,それを用いてさらに新しい現象を創出することである. まず,新機能化に関しては,光吸収層に用いた量子井戸間の結合効果と自己電気光学効果とをうまく組み合わせることで,波長に対する光多重安定現象を生み出し,それを利用して,ある波長域のみ高い感度を有する波長選択受光機能をpin型フォトダイオードに持たせる方法について検討した.そのために,新たに導入した半導体シミュレータを用いて非対称型のGaAs/AlGaAs結合量子井戸の光吸収特性を調べ,そこで見られる反交差現象を利用して光吸収強度とピーク波長の電界依存性を変調することで波長選択受光機能が実現できることを示した.さらに,その波長選択幅は外部パラメータで電気的に制御でき,原理的にはある特定の波長にのみ高い感度を持つ光検出器が実現できることを示した. 次に,新しい現象の創出に関する研究として,不可逆的な双安定状態を生み出し,その結果として得られる孤立した光安定状態について調べた.そこで,まず,上で述べた波長選択受光機能の高感度応答領域を電気的な制御で無くすことで,宙に浮いた安定状態が得られることを示した.さらに,別の方法として,通常の双安定素子を多段に配置することで得られる種々の光多重安定特性を調べ,それらの中の幾つかのパターンで不可逆的な双安定状態,すなわち孤立した安定状態が得られることを示した. なお,今後,前者については,光通信を想定したInGaAsP系の長波長素子に対する検討を,後者については,光情報処理における情報秘匿などへの応用も考えてAlGaInN系などの短波長素子に関する検討を行うことは意味があると考える.
|