研究課題/領域番号 |
24560050
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
古田 寛 高知工科大学, 工学部, 准教授 (10389207)
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キーワード | メタマテリアル / カーボンナノチューブフォレスト / 光物性 / 吸収係数 / 配線加工 / 触媒微粒子 |
研究概要 |
カーボンナノチューブフォレストメタマテリアルの開発の要素技術として、昨年度に引き続き、短尺高密度成長、電極構造設計、バルク構造体の光学特性評価を行った。 短尺高密度成長での触媒形成において、スパッタリング堆積薄膜のコンダクタンスをその場評価することにより、1nm程度のごく薄い薄膜の、島状構造から連続膜形成の堆積構造を評価可能になった。従来透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡によって評価していた、極薄の触媒微粒子構造を電気的に評価することで簡便かつ正確な高密度島状触媒微粒子構造の堆積を再現よく評価可能になった。本内容は国際会議で発表し、同内容を査読付き学術誌J. Vac. Sci. Tech. Aで論文発表した。触媒微粒子のパルススパッタリング法堆積について、触媒微粒子の間欠スパッタリング堆積を行うことで、触媒微粒子が1E+12/cm2の高密度化島状堆積を行うことを見いだし、国際会議にて発表した。 カーボンナノチューブフォレスト構造体の光学特性評価について、触媒アニール時間の調整による触媒密度制御と、成長するカーボンナノチューブ密度の2E+10から1E+11/cm2の制御をおこない、密度制御したカーボンナノチューブフォレストの全反射率の評価から、吸収係数を求めた。カーボンナノチューブフォレストの吸収係数をカーボンナノチューブ1本あたりの体積で割った値が、走査型電子顕微鏡で推定したカーボンナノチューブフォレスト密度とリニアに相関することを発見し、カーボンナノチューブフォレストの吸収係数からカーボンナノチューブフォレストの本数密度を推定する指標として使えることを見いだした。同内容は国内会議および国際会議にて報告した。 本年度の研究実績として、査読付学術誌論文1報、学会発表19件内招待講演1件の成果発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
トップダウンプロセスによるメタマテリアル電極構造の試作評価が未実施である。 カーボンナノチューブフォレストの密度制御に関しては進捗があり、間欠スパッタリング法の開発およびアニール時間の制御により、1E+11/cm2以下の密度での制御が可能になり、カーボンナノチューブフォレスト吸収係数と、カーボンナノチューブの本数密度の相関を明らかにしたことで、カーボンナノチューブフォレストの光吸収の機構解明において、進展があった。 個別要素技術の進展と、メタマテリアル電極構造の施策評価未実施をあわせ、研究目的の達成度全体としてやや遅れていることの理由とする。
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今後の研究の推進方策 |
触媒堆積法ではこれまでに、間欠スパッタによる触媒堆積密度をNi密度1E+12/cm2に向上することを見いだしたため、これをFe微粒子に応用すると共にCVD合成条件の最適化により、1E+12/cm2のCNTフォレストを1μm程度の短尺で成長させる。高密度化したCNTフォレストを設計したメタマテリアル配線加工をおこない、配線評価の研究を加速し、メタマテリアルの試作評価をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
触媒微粒子のパルススパッタリング堆積に必要としている、パルス電源装置について、当初、本年度の導入を計画していたが、仕様決定の遅れにより、本年度導入に間に合わなかったため。 本年度、装置仕様決定のための予備実験として、直流電源を用いた間欠スパッタリングを行い、高密度微粒子堆積条件が得られたので、次年度、この実験結果に基づいた仕様のパルス電源を導入し、触媒微粒子の高密度堆積実験を行う。
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